仔犬の居るレストラン

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 海辺の天気は快晴。

 今日も市場の賑わいが心地よく響く。

 海風がふわりと開けられた窓から入り、ザックスの頬を撫でる。


ザックス
「ん…んん…」


 ベットに寝転がったまま伸びをする。

 ボーッとした頭はまだ覚醒しておらず、ただ天井を見上げる。

 声が聞こえた気がした。でも、再び瞼(まぶた)が閉じようとする。

 しかし


ティーダ
「ザックスってば!いい加減起きろって!」


 ザックスの目の前に、同室の少年の顔がひょっこり現れる。

 眉を寄せ、少し不機嫌そうだ。


ティーダ
「朝飯、食わないのか?」

ザックス
「んー」

ティーダ
「どっちかはっきりしろよ…アンジールに要らないって言うぞ」


 ティーダがザックスから離れようとするが、その腕を掴まれティーダはそのままベットに引き戻される。


ティーダ
「ぶわっ、ザックス!放せよ!」

ザックス
「たーべーるー」

ティーダ
「やめろ!オレを食おうとするなって!」

ザックス
「俺の朝食ぅ」

ティーダ
「ザックスのスケベ‼はーなーせぇぇぇ」


 ザックスの力は寝起きとは思えぬほど強い。ティーダはジタバタと抵抗するが全く放れない。


アンジール
「朝っぱらから何をしてる」


 そこへ、ザックスを起こしに行ってなかなか降りてこないティーダを見にきたアンジールが現れた。

 現状を見てアンジールは呆れた顔をした。


ティーダ
「見てないで助けてくれッス〜!」


 ティーダの本気の抵抗を見てアンジールがザックスの頭をひっぱたく、もとい強烈なゲンコツを浴びせる。

 ザックスは変な呻き声をあげてうずくまる。


アンジール
「ティーダ、行くぞ」

ティーダ
「了解」

ザックス
「ま、まっでぐれぇぇぇ」

アンジール
「さっきの事はオーナーに報告しておく」

ザックス
「ヒィィ‼それはご勘弁を‼」


 さっさと下へ降りていく二人の後をザックスはモソモソと着いていく。

 既にジェクトは朝食を頬張っていた。




 朝食を済ませ、各々が休日を過ごす。


ザックス
「はぁ〜、久々の休みだぁ〜」


 ザックスが部屋でゴロゴロしていると、


ティーダ
「ザックス、布団干したいからちょっとどいてよ」

ザックス
「えー」

ティーダ
「じゃあ、ザックスはカビだらけの布団で寝たらいいよ」


 そう言ってさっさと自分の布団だけを手際よく干していく。


ザックス
「最近ティーダ君冷たい…」


 ザックスがシクシクと泣き出す。

 ティーダは呆れたように溜め息をついている。


ティーダ
「じゃあ素直にどいたらいいじゃん」

ザックス
「動くのには動力が必要なんだよー」

ティーダ
「はぁ?」


 そう言うとザックスはティーダを近くまで手招く。

 素直に近寄るティーダ。その腕を引っ張りザックスはティーダの唇に自分の唇を重ねる。


ザックス
「これが俺の動力」


 途端にティーダは耳まで顔を真っ赤にして離れる。

 ニコニコしながらこちらを見ているザックスの顔に、おもいっきり枕を叩きつけた。
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