DFF・学園

□あったかい
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 風が冷たい。

 でも、だいぶ暖かくなってきたと思う。


「はぁ…」


 うん。白くない。

 そう思いながらティーダはにっこり微笑んだ。

 雲に隠れていた太陽が顔を出す。

 一面が、淡い夕焼け色に染まっていく。

 その色がティーダも染めた。



「あったけぇ…」



 先程までの寒さを徐々に温めてゆく。

 太陽の光を見ていると、心がほっこりしてくる気がする。

 春の訪れが感じられる。だが、まだ少し寒い。



「ティーダ!」



 後ろから声が掛かった。

 振り向くと、フリオニールが心配そうな、でも怒ってるような顔をしながら立っていた。



「終わった?」


「何も外で待ってることなかっただろう?
 職員室前で待っててくれたら良かったのに」


 職員室に用があるから、と立ち寄ったのだが、一緒でも入ることを断固として拒否。

 仕方ないので自分だけ職員室に入った。
 出て来たらティーダの姿はなかった。



「ヤダ」


 口を尖らせるティーダに溜め息をつく。


「どうして?」


「オヤジと出くわしたくない」


 一瞬、は?となった。

 なんだ、そんな理由か。

 体育教師のジェクトとティーダは親子。
 いつも体育の時間は喧嘩の時間らしい。



「授業終わってもアイツの顔見たくねっつの」


 思わず苦笑が漏れる。

 やはり親子だ。



「とりあえず、寒かったんじゃないか?」

「え?」

「春先とは言え、まだ寒いだろう。外で待ってるなんて…」



 そう言ってティーダの手を握る。



「冷たッ」

「お、フリオニールの手あったかいッスね〜」



 まったく、どこまでものんびり屋だな。
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