LOVE×LOVE

□紫陽花の咲く季節
1ページ/3ページ

空は曇り空、雨雲が太陽を蔽い昼だと言うのに外は薄暗い。


梅雨のジメっとした空気が気持ち悪い。


そのなかでサスケは毎日の日課で欠かせないらしく、こんな天気の悪い日に散歩をしていた。

特に決まった道筋などない。ただ歩く。そして疲れたら帰る。ありのままの自分でいられる方法なのだ。




暗い空に少し光が見える。


「晴れるか…?」


独り言を言いながら歩く。

天気が悪い所為かいつもなら賑わう通りには人の影はなく、立てられた店のテントに先ほど降った雨の露が溜まって滑り落ちていく。

何気ない光景を見ながら静かな通りを歩く。

心の中さえ静かになって落ち着き、穏やかな気分になる。
この気分がサスケはとても好きだった。



水溜りの中を歩いてみたり、曇った空に飛ぶ鳥を見て見たり、梅雨の雨の匂いを嗅いだりする。
道端に咲く紫陽花の花が綺麗でサスケはしばらくそれに見とれていた。


色とりどりの小さな花びらが身を寄せ合って、まるでグラデーションのようだった。

青っぽい花、紫っぽい花、薄い桃色のような花。

どれも綺麗で、その上にかかった露がひかって流れる。

幻想のような美しさに心が引かれる。

ついつい少し見すぎていたのか、空は黒い雲が広がり少しづつポツポツと雨が降っている。

サスケは青紫の紫陽花をひとつ折って摘み取ると急いで近くの店の屋根の下に飛び込んだ。


少し風があるからか小さい屋根の下に雨粒が入り込んでくる。


冷たい雨は何時間も降り続き、一向に止む様子はない。

流石に少し寒い。


思わずくしゃみがもれた。


_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ