ノベル2
□哀色
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※死ネタな上に薄気味悪い話。屍姦有り。
↓本編
「シンジ君、ただいま」
日常品の買い出しから帰って、台所の机に野菜や牛乳のパックを並べる。
「・・・・・・」
シンジ君は返事をしてくれない。ただ濁った目で、目の前に転がったたまねぎを眺めているだけだった。
「シンジ君、たまねぎを取ってくれるかい?」
「・・・・・・」
またしても無視。
「(無理もないか・・・)」
こうなってしまったのは、僕のせいなのだからシンジ君を責めることは出来ない。でも、
「シンジ君」
いつも優しい笑顔で話してくれたシンジ君がいないのは辛かった。淋しかった。
「・・・・・・」
やはり無視。僕は諦めて自分でたまねぎを取った。
「昨日のこと、まだ怒ってるのかい?」
シンジ君はたまねぎの消えた机の上をじっと見ているだけだった。冷蔵庫を閉める、ばん、という音がやけに大きく響く。
「ごめんね、いくら謝っても足りないのかもしれないけれど」
椅子に座っているシンジ君を後ろから抱きしめる。
「でもそうしなきゃ気が済まないんだ」
「・・・・・・」
まだ怒っているのか、シンジ君は無反応のままだった。そんな彼の様子に、僕は痛烈に昨日のことを後悔した・・・