ノベル2
□証
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「僕さ、シニガミって呼ばれてたんだ」
「え」
シンジ君は唐突に言った。あまりにもシンジ君がぽっかりと暗い目をしていたから、僕は読んでいた雑誌を床に置いた。
「今、なんて言ったの?」「僕がシニガミって呼ばれてたって言った」
「シニガミ?」
「うん」
なんでシンジ君は急にそんなことを言うんだろう。
いつもはこっちが何言ってんだかばーか、って言われるばっかりなのに。
やっぱり夜になると人って変わるのかな。たとえシンジ君でも。
「なんで、シニガミ?」
「僕の周りで人がいっぱい死ぬから。人だけじゃないけど」
シンジ君はベッドに寝転がったまま、天井の一点だけを見つめて話始めた。
「最初は飼ってたカメだった。次は猫。その次は母さん」
何か言わなくちゃいけないとは思ったけど、なんて言えばいいかわからなかったから、黙っていた。
「僕と兄さん二人で一匹ずつ拾ってきた猫だったんだよ。兄さんの猫は大丈夫だった。カメも一緒。だから母さんだって」
シンジ君は言葉を切った。
「僕が殺しちゃったんだ。あの時僕は母さんと、兄さんは父さんと出かけてたから。母さんも兄さんといれば死ななかったのに」
「シンジ君、さっきから何が言いたいのさ」
ちょっときつい口調になったけど、それでも言わなくちゃいけない気がした。