ノベル2
□カヲシン童話集
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■白雪姫
〈登場人物〉
・白雪姫…庵シンジ
・王子…庵カヲル
・小人
〈本編〉
※鬼畜注意
神様なんていない。
誰も僕を愛さない。
幸せは、僕から一番遠い場所にある。
「おい、見ろよこいつ」
頭上から嫌な声がした。
「どうしたんだ」
「兄貴、こんな所に人間がいる」
さっきとは別の声。相変わらず嫌な声だ。だが、逃げようにも毒で痺れた体は動かない。だから、気を失った振りをし続けた。
「捨てられでもしたんですかね」
「だろうな。それにしても・・・」
顔に気持ち悪い息がかかる。
「綺麗な人間だな」
「兄貴、これ」
一人が勝手に僕のズボンのポケットを漁る。不愉快だ。そして気持ち悪い。
「これは、王族の紋章じゃないか!どうりで綺麗な顔をしてる訳だ」
「王族ってことは、ワケアリでしょうか」
「だろうな」
「ってことは、何をしようと俺達の自由ってことですね」
「全くその通りだな!」
一人が下品な笑い声をあげる。唾が顔にかかる。手で拭き取ろうにも、体は言うことを聞かない。
「とりあえず、他の奴らに見つかる前に小屋へ運びましょうか」
「そうだな」
あろうことか、二人は僕の体に腕を回し、抱えあげようとした。