小説

□Release
3ページ/18ページ

 しばらく歩き、賢悟とわかれた亜樹は、一人で家に向かっていた。あたりはまだ明るいが、もう少ししたら日が暮れ始める時間帯。
 亜樹の家は一軒家で、近くには小さな公園があり、いつもその公園の近くを通っていた。この時間帯は、保育園や幼稚園ぐらいの年の子から小学生ぐらいの子供が遊んでいるが、今日は珍しく高校生ぐらいの女の子がいた。誰かを待っているかのようにベンチに座り、あたりをきょろきょろと見ている。
『珍しいな…こんな公園に。私服?学校に行ってないのかな?』
 亜樹がそう思いながら家の方向に歩き始めると、女の子がスッとベンチから立ち上がり、亜樹のところへ足早に歩いていった。
「あの、すみません!」
 反射的に声のしたほうを見た亜樹のそばには、さっきまでベンチに座っていた女の子がいた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ