小説

□game
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「立ったままそんな夢を見たの?」
「たぶん…ドア開けた後にいきなりディスプレイだったからそうなる」
「そういう人もいるんだね…みやびすごいよ」
 こうきは俺にそういう。でも、今までに立ったまま夢を見る、それ以前に眠ることなどなかった。でも、ドアの前から気づかない間にディスプレイの前に移動することは不可能だと思う。
 そう思いながらも、こうきと話しながら道を歩いていると、学校に着いた。

 今日の学校もいつもどおりに暇だった。授業の間、いつもは寝たり見えないようにして曲を聴いたりしていたが、今日は朝のこと、特に家を出るときに見たディスプレイのことを考えていた。
 あの時俺は、目の前にあったディスプレイに人の顔が写ったのを見た。ディスプレイの近くに女の人が立っていたのも覚えている。でも、肝心の顔がわからない。女の人も、ディスプレイに写った人の顔も。
 授業中はディスプレイの顔のことなどを思い出そうとすることで時間をつぶす。休憩時間などではこうきと一緒に話をしたりしたから、朝のことは忘れた。
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