嵐になれ桜になれ!
□第3章
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『初めまして! 苗字名前ですっ。 趣味は音楽鑑賞とかで、特技はテニスです。 よろしくで〜す』
手をヒラヒラさせて自己紹介すれば、何とか周りからの批判は免れたようだ。
・・・ハイ。 皆さんお解かりのように、今は転入生恒例の自己紹介タイムでした。
赤い髪と色気がトレードマークの原田先生は、視線を彷徨わせ、にっこりと色気たっぷりの笑顔で私の席を指定してきた。
原田「んじゃ、お前の席は俺の目の前の席な」
・・・・鬼だ、この人鬼だ。 誰だよ、色気たっぷりの笑顔とか言った奴。 いや、色気はあるけどさ!!
『そりゃ無いですよ先生! 普通、そこは転入生なんですから、窓際の1番後ろでしょ!! つーか、隣いないしっ』
原田「あー、大丈夫大丈夫。 隣はちゃんといるから」
『って、誰・・・「遅くなりました」・・・・・・』
遅刻のくせに、悠々と扉を開けて入ってきた黒髪野郎は、何を隠そう! 私の友達の薫だった。
『すいません先生、やっぱり席変えてください。 地獄です』
薫「…へぇ。 僕と隣がそんなに嫌なの? 生意気だね」
『いや別に何も言ってないけど? あれ、薫ちゃんったら耳が遠くなっちゃった? 駄目だよー、耳鼻科行かなきゃ』
薫「ちゃん付けはやめろ馬鹿」
『薫酷い・・・』
大人しく指定された席に座ってそんな会話を繰り広げていれば、原田先生から注意された。
原田「うるせぇぞお前ら。 イチャつくのはいいが、俺の前でするな」
薫&「『煩いですよ。 彼女がいないダメなイケメン』」
原田「…俺、誉められてるのか?」
『誉められてると思いたいなら、そう思えばいいじゃないですか』
薫「自己判断だろ、そこは」
私たちの攻撃に耐えられなくなったのか、深いため息を吐いて話を進めた。
原田「今週は特に何も無いが、まぁ頑張れよ」
そう言い残して、教室を出て行った。
何を頑張れというんだ、あの無駄なイケメンは。