嵐になれ桜になれ!

□第8話
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数日後


『・・・あのさぁ』


「なに?」


『・・・なんであんた、ここにいんの?』


「あんたじゃなくて、そ・う・じ!」


うっざ・・・。


『…総司』


「なあに? 名前ちゃん」


『なんでここにいるの? 自分のクラスに帰りなよ』


「だって僕のクラス、今古典の授業だし」


だからどうしたんだよ。


ため息を一つこぼす。


眼の前にいるこの男、沖田総司。
こいつは、自分のクラスの授業に参加せず、私のクラスの授業に参加している。
ちなみに、私のクラスは現在、英語の授業だ。

総司がいることを、先生も注意することを諦めたみたいで、普通に授業をしている。

あ、先生ってのは、残念なイケメンの左之先生です。


「じゃあこの問題を・・・苗字」


『わかりません他の人を当ててください』


「いや、ちゃんと考えて・・・」


『いや、本当にわかんないんで。 私日本人だから』


「ちょっと名前、教えてあげるから、ちゃんと答えなよ。 …あ、ここの問題、後回しにしといてください」


『んー、あんがと、薫』


先生も納得したのか、私に当てた問題を保留にして次の問題にいった。


そして、薫に教えてもらおうと薫の方を体ごと向いた瞬間、後ろから腕が回り、持ち上げられる。


『ちょっ、なに!?』


「よっ、と…」


何が起こったのかわからず暴れると、上から「暴れないでよ」という声が。
そして間もなく、誰かの上に横向きに座らされる。


「ん、到着」


『…あんた、本当自分のクラス帰れば? 勉強したいんだけど』


「だから、僕が教えてあげるって。 ほら、教科書持って」


離れようにも、お腹に手が回っていて、しかも結構力が強い。
諦めて、教えてもらうことにした。


「…で、ここが・・・」


『…じゃあ、こうってこと?』


「そうそう。 やれば出来るんだね、偉いえらい」


頭を撫でられて、ちょっと恥ずかしいけど、嬉しくなる。


『…へへっ』


笑うと、総司と薫が驚いた表情になった。


『・・・なに?』


2人だけじゃなくて、クラス中から視線を感じて見渡すと、みんなが驚いた表情になっている。


「…っ 名前ちゃん!」


『な、なに』


いきなり抱きつかれ、ちょっと、いや、かなり焦る。


「もういっかい! もういっかい笑って!」


『だが断る! 離れろっ』


「はいはい、苗字、早く問題の答え」


先生が間に入ってくれて、先ほど理解した問題の答えを言う。


「お、正解。 沖田、あの苗字に理解させるとは、すげぇな」


「えぇ? 名前ちゃん、理解力良いよ? 左之先生の教え方が合わないんじゃない?」


「そんなに言うなら、毎週この時間、お前が苗字に英語教えてやれよ」


「え、いいの?」


「ただし、土方さんに納得させられたらな」


「絶対、させるから」


『…いや、何でそんなに必死になってんの』


「大丈夫! 僕を信じて!」


『意味分かんないんだけど』


言ってることがわからなさ過ぎて、笑う。


まぁ、また教えてくれるなら・・・。


『ま、いいけど』


そう言うと、またクラス中のみんなから視線が集まる。


「…苗字、お前、熱でもあんのか?」


『は?』


「左之さん、これ、期待してもいい!?」


身を乗り出して聞いてる総司に、先生は苦笑い。


「まぁ、頑張れよ」


「僕、頑張るから!」


『総司、うるさい』


「…名前、いつの間に名前呼び?」


『…成り行き。 あ、今日の昼休み、屋上ね』


「りょーかい」


薫と小さい声で話し、また授業に戻る。



…まぁ、週に1回なら、総司が来てもいいかな。
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