私はあなたに本当の恋をした

□最低ね。 不二
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数日後...

あのメール以来、三上って子はしつこく不二につきまとうようになった。
朝練から昼休みから放課後、その他いろいろ。 少しの時間でも、不二に会いに来る。

今日は雨。 そして、不二は図書当番。 休みの子の代わりに当番を受け持ったんだって。 人が良いところは変わらないわね。
そして、綺羅は手塚にどこか連れて行かれ、英二は風邪で休み。


『・・・本、借りに行こう』


1人で寂しく、暇だったから図書室に本でも借りに行くことにした。 図書室に居座る気はない。 不二の仕事の邪魔はしたくない。

あの三上って子がいるといけないから、一応学ランに着替えて行った。


ガラガラ...


『不二、本を…「三上さん!?」・・・?』


ドアを開けると、奥から不二の声がしたので行ってみることに。


『・・・!?(マジかよっ)』


少しだけ顔を出すと、不二と三上さんが抱きしめあっていた。


(・・・なんでだよ、不二…)


呆然と立っていると、三上さんが不二に見えない角度…つまり、俺にしか見えない角度で不敵に笑った。

だがそれは一瞬で、次の瞬間には焦ったように不二から離れた。


三上「ご、ごめんなさい!  あ、苗字さん…」


俺の名前が出たとき、不二が勢い良く俺の方に振り向いた。


不二「名前、何でココに・・・」


『えーと…本を借りに来たんだよ。 1人で暇だったし・・・』


そのとき、不二の首に目が行った。 首には、ネックレスがしっかりしてある。


(俺との約束も守れてねぇのかよ…)


* * * *

『不二、もし浮気とかするときは、そのネックレスを外してちょうだい?』

不二「僕が浮気するような顔に見える? 名前がいれば充分だよ」

『そう言ってもらえると嬉しいわ。 でも、その気はなかったとしても、女子と2人きりのときは外して?』

不二「…? じゃあ、指にはめてるよ」

『…ま、それでもいいわ』

* * * *


うつむき、泣かないように拳を作って我慢していると、不二から両肩を掴まれた。


不二「名前、違うんだ! 今のは…『黙れ!』…名前」


不二が何か言おうとしたのを、俺は平手打ちで止め、不二を突き放した。


『俺、言ったよな? 浮気をするか、女子と2人きりになるときは、俺のネックレスを外してくれって。
もう2度と、俺を放さないでくれって…


・・・お前、最低だな。 1回死ねよ。
俺は、約束の1つも守れない奴は大嫌いなんだ』


俺は三上さんの方に向き直ると、話し始めた。 実際、俺がここまで言うのは予想外だったようで、三上さんも驚いてるけど。


『アンタとは、折り入って話しがしたい。 メールで、な。 じゃ、お邪魔しました』


出入り口に向かって歩き出すと、後ろから再び肩を掴まれた。


『・・・まだ何か話してぇのか? 不二先輩』


不二「・・・僕は今、名前の先輩じゃない。 同級生だ」


『・・・あっそ。 ま、アンタがどう思おうと、俺には関係がない。 で、用件は? ないなら離せよ』


不二「・・・明日も迎えに行く」


『・・・・・・勝手にしろ。 俺がいるかどうかは知らねぇけどな。
もう終わっただろ? 離せ』


不二「・・・」


離せっ! お前が触ると虫唾が走るっ


不二を蹴飛ばし、大きな音が響いたとき、三上さんが小さな叫び声をあげた。


三上「だ、大丈夫!? 不二くんっ」


『三上さん、そいつはアンタの好きにすれば? それから…不二』


不二「何? 名前」


『・・・何でもねぇ。 思いきり蹴って悪かった。 じゃあな』


それだけを言うと、俺は図書室を出た。
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