私はあなたに本当の恋をした
□・・・人との溝って、簡単に治るものなんだね
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昼休み...
三上さんは図書当番ということで、やっと1人になれた僕は英二たちと昼ごはんを食べていた。
綺羅「不二先輩、何で名前と別れちゃったんですか? あんなにムカつくほどラヴラヴだったのに」
菊丸「それ、俺も気になった! 何で?」
『・・・実は』
苗字とケンカしたことを全部2人に話すと、2人は真剣に悩み始めた。
菊丸「やっちゃったなー、不二」
綺羅「でも、名前は人1倍独占欲が強いからなー… 両親からの愛情もらったことないから。
不二先輩、素直に事情を話して仲直りしたらどうですか? 名前、結構単純だから信じますよ」
『それが出来たら苦労しないんだけどね・・・』
僕がため息1つすると、横から机がもう1つ増え、誰かがお弁当を食べ始めた。 三上さんだろうと思って顔を見ると、意外な人物がそこに座っていた。
『名前・・・』
そう。 そこには、ケンカ中である名前が座ってお弁当を食べていた。
綺羅「名前!? アンタ、何で学校にいるの!? 休むって…」
名前「さっき、乾先輩から“制服を着て学校に来い”ってメールでいわれて、来てみたらお弁当持たされて連れてこられた。
で、さっきの不二の話も全部聞いてた。 ったく、素直に事情話せば済んだのによ…」
お弁当を食べ、話しながら睨まれた。 流石に、迫力ありすぎだよね・・・
『ごめんね、名前』
名前「・・・ま、話しを聞こうとしなかった俺も悪いしな。 …あ、不二。 コレ」
何かを差し出してきたので、ソレを受け取り見てみると、リングに鎖が通されているネックレスだった。
名前「それ、俺とお揃いなんだよ。 昨日のやつはもう三上さんにやっちまったし、新しいの買ってきたからつけてくれねぇか…?」
その言葉に、僕は凄く感動した。 本当、意外な行動とるよね、名前って。
『もちろん。 名前もつけてるんだろ?』
名前「ま、まぁな」
綺羅「それ買いに行くために、午前中授業サボったわけ?」
名前「…半分正解。 今朝、立海に行って精市たちとテニスやってたんだよ。 で、精市に不二とのことを相談したんだ。
で、それしたら胸がすっきりして、仲直り出来るかわかんねぇけど、それ買ってきたってわけ」
綺羅「へぇー…」
昼休みの間、名前と綺羅ちゃん、英二と楽しく話していた。 だけど、昼休み終了の20分前になると名前は帰る準備をし出した。
綺羅「名前、帰るの?」
名前「元々、教科書とか持って来てねぇし。 乾先輩に弁当箱を返して帰る」
『じゃあ、僕も帰ろうかな』
3人が唖然とするなか、そそくさと弁当箱やら教科書やらを鞄の中に詰め込み、名前を引き連れて乾のクラスまで行った。
教室まで行くと、タイミングを見計らったかのように乾が教室から出てきた。
乾「上手くいったようだな」
『協力ありがとう、乾。 弁当箱返すよ。 それから・・・僕、これから帰るから、部活休むって言っといて』
乾「わかった。 苗字とゆっくりして来い」
『あぁ』
呆けている名前を笑いながら、僕たちは学校を後にした。