嵐になれ桜になれ!
□第4章
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千鶴「…あ、沖田先輩」
『マジ?』
千鶴が指を指した方向へ視線を向ければ、私たちから少し離れた職員室の前で、沖田先輩と土方先生、あと原田先生と知らない2人が楽しそうに話していた。
『…面倒くさそうな面子だなぁ、オイ』
一瞬で、関わったら面倒だと頭に警報が鳴り響き、とりあえず素知らぬ顔で横を通り過ぎようとすれば、原田先生から呼び止められる。
原田「苗字、こいつら知らねぇだろ?」
『…そうですね、知らないです』
普段は無駄に英語を使って“I don't know.”と言うのだが、流石に今の状況で言えない。 っていうか、言いたくない。
必死にボロが出ないように猫を被る。
原田「こっちが沖田総司で、無表情な奴が斉藤一だ。 斉藤は風紀委員長だからな。 朝、違反して捕まったら面倒だぜ」
『気をつけます』
先輩方2人にも私の事を紹介して、やっと開放された。
原田「何か問題起こすんじゃねぇぞ」
『起こしませんよ』
千鶴の腕を掴んで少し早めに歩き、大分離れたところに行ってからため息を吐く。
『空気読めよな、あの無駄なイケメン…』
千鶴「原田先生も、わざとじゃなかったんだから、ね?」
『…HRのときにやり返してやらぁ』
そう呟いた瞬間、後ろから含み笑いが聞こえた。
「やっぱり、そっちが本性ってわけ? 怖いよね、女子って」
『・・・何の用だ、沖田先輩』
ため息を吐いて振り返れば、私を見下したような、新しい玩具を見つけたような顔をした沖田先輩が立っていた。
沖田「別に用なんてないよ。 ただ、キミの本性はどっちなのか、気になっただけ」
『本性はわかったんだ。 もういいだろ?』
沖田「駄目だよ。 僕が気に入ったんだから。 暇だったら、教室に遊びに行くね」
じゃあ。 とさも楽しそうに笑って去って行った沖田先輩に苛ついて、近くの空のゴミ箱を思い切り蹴った。
ガンッ
『…ムカつく』
千鶴「名前? 落ち着いて、ね? ホラ、平助君達のところに帰ろう?」
『・・・そうだな、帰るか』
落ち着くように息を吐き、千鶴と屋上へ戻った。 そして、私の愚痴大会が始まる。