嵐になれ桜になれ!

□第5章
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原田「苗字、お前総司が嫌いなのか?」


『どうしてですか?』


原田「この学校の女子、ほとんど総司に協力的だぞ? サボってるの見かけても、総司に口止めされるらしくてさ。 土方さんに言わねぇんだよなぁ」


『…なんですか、それ。 イケメンの特権ですか』


原田「特権っつーか…。 なんかモテるんだよな、総司って」


友達関係なら良いと思うが、付き合うとなると、俺は嫌だな。 ときっぱり言う先生に、私もきっぱり言ってやった。


『私は友達関係もお断りです、あんな先輩』


原田「・・・お前、それ絶対女子の前で言わないほうがいいぞ。 何されるかわかんねぇ」


『集団でいじめ、ですか? 生憎、群がって強がるだけで、個人になれば弱い人間に、私は興味ありません』


原田「それでも、平和に暮らすより幸せなことはないだろ」


『それには同意します。 …が』


話し始めて初めて、先生の目を見て笑いながら言う。


『それでも私はあんな先輩、お断りです。 他人を自分勝手に振り回す人、一番嫌いなんです』


誰でも嫌でしょう? そんな人。 と言えば、先生は笑いながら私の頭を撫でた。


原田「お前、面白いな。 しかし、総司も相当嫌われたな。 あいつはあいつで、良いところがあるぞ?」


『良いところより、悪いところが多いですけどね。 ・・・さて。 あの人も土方先生に捕まっただろうし、帰りますね』


椅子から立って出入り口へ向かえば、先生は門まで送ってくれるようで、ついて来てくれた。


原田「そういやお前、総司と会ったのか?」


『放課後、デートしよう。 なんて口説かれましたよ。 まぁ、振り切って逃げて来ましたが』


原田「総司に? どうやって・・・」


『2階から飛び降りて』


原田「はぁ!? おまっ、危ねぇだろっ!!」


『飛び降りるのは慣れてるんでお構いなく』


原田「そういう問題じゃねぇ! もし怪我でもしたらどうすんだっ」


その一言で、何故か私の心が急激に冷めていった。 自分でも何故かはわからない。


『・・・打撲も骨折も死にかけることも慣れてるんでお構いなく』


そう言って歩き出そうとすれば、鞄を持っていない方の腕を掴まれ、先生の顔を見た。
すると先生は、何か言おうとした口を閉じて、腕を離す。


原田「・・・お前、何があったんだ」


『人の過去に踏み入るのは感心しませんね。 …ここまでで結構です、また明日』


原田「あ、あぁ…」


先生に一礼し、下駄箱で靴を履き替えて帰路につく。 公園につくとブランコに座って涙を流す。


『あれ、おかしいな・・・? 泣きたい訳じゃないのに・・・』


コノカンジョウハ、ナンダロウ―――?


生憎と、私には暗い過去なんてないはずだ。 普通の家庭に生まれ、両親から愛情を貰って、普通に育って・・・


アレ? “普通”ッテナンダッケ・・・?


そう思った瞬間、パチンと何かが弾けて、たくさんの情報、思い出…。 どの言葉をとっても言い表せないくらいの、――苦痛。

大人が子供に殴り、蹴り、首を絞め・・・。 見た人は気を失いそうな、辛く、苦しい、親の虐待。


コレガ、ワタシ・・・?


『・・・わからない。 わからないよっ…!』


この大人が誰なのか、子供は誰なのか。 そして、虐待されている風景を見て体中が暑くなり、ガタガタと震え出す。

そんな自分も、わからない。 何故こうなるのか。 私はこの風景を知っているのか。 何故知っているのか。

文字通り、謎が謎を呼び、私の頭は混乱する。 頭を抱えて痛みに耐えていると、誰かが私の頭に手を置く。


「何をそんなに…っ、泣いてる、わけ? 」


耳に入ってきた声に顔を上げれば、涙でぼやけてあまり見えないけれど、沖田先輩だということはわかった。 息切れしているから、走っていたんだろう。


こんな姿、見られたくなかったと思う反面、誰かに縋りつきたいとも思った自分に嫌気がさす。


『せんぱ・・・っ、沖田先輩…!』


本能のままに従い、沖田先輩に抱きついた私にも、


沖田「大丈夫だよ、大丈夫」


優しく背中をさすって、優しい言葉をかける先輩にも―――。











第5章


本当、嫌気がさすよ。 反吐が出る。









意味がわからない話しになってしまった。
ノープランとノー下書きダメ、絶対!
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