私はあなたに本当の恋をした

□謎の女の子
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くるみ「私、伊準院くるみっていいます!」


そう言って、鞄から名刺を出し、渡された。


『へぇ…くるみちゃんね。 で、不二先輩…家の用事はどうしたんですか?』


不二「諦めたよ。 この話しが終わったら帰る」


くるみ「さすが、私の王子様!優しいのねっ」


くるみちゃんが不二先輩にベタベタしている間に、私は思い出した。


『…まさか、この子って…』


菊丸「綺羅、知ってんの?」


不思議な顔をする英二たちに、小さな声で話すことにした。


『アニメでも出てきたんだけど、あの子… 不二先輩を本当の王子様と思いこんでる子よ』


越前「いや、それは見てわかるんだけど」


『落ち着きなって。 いい? この後あの子は、いきなり不二先輩とデートする。 なんて言い出すから』


桃城「マジかよ…」


『ホントホント。 ま、見てなって』


小声で話すのをやめ、さっき注文したオレンジジュースを飲んだ。


くるみ「あなたの名前は何?」


不二先輩…ではなく、私を見て笑顔で聴いてきた。


『私? 私は中島綺羅』


菊丸「俺は、菊丸英二」


桃城「俺、桃城武!」


越前「…越前リョーマ」


くるみ「よろしく! で、王子様の名前は?」


不二「僕かい? えーと…」


菊丸「不二周助って言うんだよっ」


困っている不二先輩に、英二が面白そうにこたえた。


不二「何で英二が答えるの?」


くるみ「不二周助… カッコイイ名前! 決めたっ! 周助、明日私とデートしましょ?」


全「マジで!?」


(・・・アハハ、やっぱし?ι)


無理矢理約束を取り付け、くるみちゃんは帰っていった…瞬間、不二先輩の携帯にメールが入った。


『不二先輩、家の人からですか?』


メールを見ているであろう不二先輩に、ちょっと不安になりながら聞いてみた。

携帯を閉じ、ちょっと困った&悲しそうな表情で、メールの相手を言った。


不二「名前だよ」


菊丸「迎えに来て。 とか…そういうのかにゃ?」


不二「さっきまでの場面、名前に見られてたみたい。 明日のデート、潰れた」


ありゃ… 名前に見られてたのか。


?「当然でしょ。 早く家に帰るとか言っておいて、こんな場所に来てるんだから」


通り道のところで、名前の怒っている声が響いた。


『あ、名前だ〜♪』


名前「さっきぶりね、綺羅」


菊丸「っていうか、買い物は?」


名前「終わった。 ココで休憩してたのよ。
出入り口のところで、可愛らしい女の子を見たけどね」


誤解してるってことは、肝心の部分を聞いてなかったわけだ。

不二先輩は慌てて、鈴に話しかけた。


不二「名前、ゴメンっ」


名前「何が? 私は別に、気にしてないわ。
それよりも不二… 家の用事は? 由美子さんから、“周助が帰ってこない”って、メールが来たんだけど」


不二「あ…ι」


忘れてた。 とでも言うかのようにポカンとしている不二先輩に苦笑し、優しく話しかけた。


名前「早く行ってあげなさい。 由美子さんが可哀想だわ」


不二「そうだね。 本当にゴメン、名前」


名前「ハイハイ」


不二先輩を見送り、姿が見えなくなった途端、名前の顔が怒りの表情になった。


『名前さ〜ん…?…「何よ」…イエ』


怖い・・・;


名前は、会計を済ませていたらしく、買い物袋をテーブルに置いて、不二先輩が座っていた場所に座った。


そんな名前に、桃ちゃんは明るく声をかけた。


桃城「名前! 明日、俺と越前で遊びに…「行かないわ」…ですよね〜」


バッサリ断られたあと、桃ちゃんは落ち込んでいた。


越前「名前、あのさ…「名前?」」


名前「…精市?」


リョーマの言葉を遮り、登場して来たのはこの人。 立海の部長の幸村先輩だ。

久々に見たなぁ・・・


幸村「久しぶりだね、名前。 綺羅ちゃんも、元気だった?」


綺羅「バッチシですよっ」


名前「…で? 何で東京にいるの?」


相変わらず不機嫌な声で話しかけた。


幸村「東京の店に、買い出しにね。 っていうか… 名前、なんか機嫌悪くないか?」


名前「悪くないわよ」


頭に?を浮かべている幸村先輩を、少し離れた場所へ私と英二は連れて行き、名前の機嫌が悪い原因を全て話した。


幸村「ふぅん…? なんだか、面白そうな展開だねぇ」


綺羅「Σどこかですか!?」


菊丸「Σ全然面白くないにゃぁっ」


幸村「フフッ まぁ、俺に任せて」


自信満々そうに言って、幸村先輩は名前の隣に座った。
私たちは、不思議に思いながらも、元の席に座った。
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