私はあなたに本当の恋をした

□不二の家へお泊り。 目的は・・・
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由美子姉さんのところへ行くと、ベンチには置手紙があり、パイの材料を買って先に帰っているとのことだった。
不幸中の幸いか、傷口を見られないで済んだ。

もう真っ赤に染まりきったハンカチを見て、急がないと…と思っていると、後ろから不二に話しかけられた。


不二「名前、どうしたのその怪我!?」


『・・・なんでココにいるの? 練習は?』


不二「名前が通った場所、点々と赤く染まっていたんだ。 ほら、早く保健室に行くよ!」


私の腕を引くと、私の手の中にはカッターが握られていた。 そういえば、さっきカッターを拾ったな…なんて考えていると、不二の顔がどんどん怒っている顔になっていった。


不二「まさか名前…自分でしたんじゃないよね? その傷」


『まさかっ! この服お気に入りなのに、そんなことするわけないじゃない。 現に、服に血がつかないように気をつけてるのっ』


不二「なら良いけど。 となると、やっぱ三上さんか…」


『…私、どうすれば良いかわからない。 私が身を引いて、周りの人を笑顔になせるのか、私の我儘を通して悲しませるのか』


歩きながら話すと、不二は振り返らずに静かに話し始めた。


不二「確かに、名前が身を引かなかったら周りの人が悲しむよ。 僕、モテるらしいから。
だけど、これは僕の人生だし、僕の好きにさせて欲しいんだ。 だから、名前の我儘を通して良いんだよ。
誰が悲しもうが関係ない。 僕は僕の意見を通すまでだ。 だから名前、一緒にいてくれる? 僕は名前が必要だ」


言い終わって、視線を私に合わせて聞いてきた。 答え? そんなの決まっているじゃない。


『当然よ。 私も周助が必要なんだから』


言うと、不二は笑って歩き出し、保健室へ着くと手当てしてくれた。


不二「手当て終了。 もう大丈夫だよ」


『ありがとう、助かったわ』


不二が道具を片付けていると、三上さんがやってきた。


『三上さん、怪我でもしたの? 具合でも悪い? あ、熱?』


不二「名前、まだ具合悪いと決まったわけじゃないからι 三上さん、どうかした?」


三上さんは黙って私の前に来て、返してもらおうと思っていたネックレスを渡してきた。


三上「コレ返すわ。 私が持ってても仕方ないし。 今までのこと、ごめんなさい」


『別に良いわよ。 不二にケーキ奢ってもらうから。 ホールを』


不二「…本当、ときどき酷いよね。 お土産は、ガムかチョコで良いって言ったくせに。 太るよ」


『残念でしたー。 私は太りにくい体質なんですー。 太ったとしてもテニスするもん。
で、許してくれた三上さんに1つお願いがっ』


そう言うと、2人とも不思議がって私を見る。


不二「名前、三上さんにもケーキ奢ってもらうつもり?」


『失礼ね、そんなんじゃないわよ。 三上さんには、私の友達になってほしいの』


三上「友達…?」


目を丸くしている三上さんに、私は照れながら話し始めた。


『私、元々中学1年なのに、いきなり高校1年でしょう? 当然、綺羅と不二と英二以外友達がいないの。
だから、私と友達になってください』


三上「・・・カッコ良くて性格の良い男の子紹介してくれるなら、なってあげても良いわよ」


『お安い御用! 不二と付き合ってるせいで、友達が綺羅以外全員男子なの。 手始めに、立海のテニス部紹介してあげるわ』


不二「それって、仁王とか幸村とか?」


『ううん、真田』


不二「(うわ、鬼だ…)そ、そう…」


『っていうのは嘘で。 三上さんの好きなタイプがわからないから何とも… どういうのが好き?』


三上「カッコ良くて性格が良くて嘘をつかなくて、私を大事にしてくれる人」


うわ、理想高すぎ…と思ったが、口に出すのはやめておこう。


『仁王と赤也とジャッカルは脱落か…』


不二「1番良いのって、幸村とか柳とかじゃない?」


『そうなのよね…そうだ! 三上さん、今度一緒に立海に行きましょうか』


三上「え、でも…私他校生だし」


『私がいれば平気。 昨日、立海にテニスしに行ったし』


不二「名前って、大抵のことは許されるよね」


『まぁね。 日頃の行いなのよ』


三上「じゃあ、私は帰るよ。 またね、苗字さんと不二くん」


『また学校で』


不二「気をつけて帰ってね」


三上さんが帰ると、私は本格的に悩み始めた。


『…三上さんて、足綺麗だよね』


不二「まぁ、綺麗な分類に入るんじゃない? 僕、そういうのわからないけど」


『三上さん、関西人いけるかな?』


不二「大丈夫なんじゃない? …にしても、足が綺麗な子が好きで関西人? ・・・あ、氷帝の忍足か」


『そ。 忍足』


ポケットから携帯を取り出し、跡部に電話した。 今、部活中か知らないけど。
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