もっと青春・・・してみる?

□気づかないキミ、弱い私
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翌日。


いつも通りの時間に起きて準備をしていれば部屋のノックが響き、扉を開ければ驚いた。


『・・・華ちゃん?』


何と、光と華ちゃんがいた。

いや、光は毎朝迎えに来てくれるからわかるけど、何で華ちゃんまで?


財前「ちょうどそこで会ったんや。 行くとこは一緒やし、ええやろ」


『うん、別に構わないよ』


華「本当ですか!? 名前先輩に反対されたらどうしようって思ってました!」


財前「何たって俺の彼女やからな」


『意味がわからないから』


“俺の彼女”の単語にちょっと救われた。

扉の鍵を閉めて食堂へ向かう間、光と手を繋いでたけど、光は華ちゃんとずっと話していた。


(ずるいよ、光・・・)


別の方を見て話すなら、手なんて繋がなくても良かった。 2人で先に行って話していればいいじゃない。


(・・・ダメだな、私)


どんどん思考が悪いほうへ行ってしまう。
これじゃクララに怒られちゃう。


財前「…? 名前、どないしたん? 具合悪いんか?」


『ん? ううん、大丈夫』


財前「何かあったらすぐに言えや。 倒れたら怒るで」


『大丈夫だって』


ムッとした顔の光に苦笑して、食堂へ入る。
私は跡部の向かいの席へ。
だけど、華ちゃんは、四天宝寺のみんなが来てないことをいい事に、光の隣へ座って話す。
それに笑顔で対応する光に、跡部はびっくりしていた。


跡部「…何だアイツ。 数日前とえらい違いだな」


『だから言ったじゃん』


跡部「あれじゃ、お前が不安に思うのも無理ねぇな」


『・・・知らないよ、もう』


光なんて、知らない。
華ちゃんと楽しく笑ってればいいんだ。


『…焼きもちなんて、したくなかったのに』


跡部「午後に白石と忍足が来る。 それまで我慢してろ」


『わかった』


みんなが揃って朝食を、と言っても、食欲が無かったからサラダだけ食べた。


食べ終わって、光がびっくりしていた。


財前「名前、全然食べてないやんけ。 風邪か?」


『大丈夫。 寝起きで食欲わかないだけだよ』


財前「…なんかあったらすぐ言うんやで」


『うん、ありがとう』


光やみんなが出て行き、お皿の後片付けをしていると、華ちゃんが近づいてきた。


華「先輩、私が光先輩もらっちゃうかもしれませんね! でも、怒らないでくださいよ?」


『…そうかもね。 私は別に怒らないよ、光が決めることだもん』


そう、私じゃない。 光なんだよ。


それを聞いた華ちゃんは嬉しそうに目を細めて、不気味な笑い声をたてながら食堂を去っていった。


『・・・?』


このとき、何か感づいていればよかったんだ。

そしたら、あんな場面を見ることにはならなかった。
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