もっと青春・・・してみる?

□財前家で夕飯
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家に帰って今日の夕飯は何にしようか考えていると、インターホンが鳴った。


『はい。 …って、あれ? おば様?』


ドアの向こうに立っていたのは、光のお母さん…おば様だ。


お母さん「名前ちゃん、今日何か予定はある?」


『いえ、何もないですけど…』


お母さん「じゃあ、今晩の夕飯はうちで食べてってや! おばさん、腕振るうでっ。 さっ、ホラホラッ」


『え、あの、ちょっ…』


私は急いで家の鍵を閉め、おば様に腕を引っ張られるがまま財前家へいった。


お母さん「夕飯が出来るまで、光の部屋にいてや。 2階の1番右やで」


『わかりました』


反抗するのもアレなんで、もう従うことにした。
上機嫌なおば様をリビングに残し、言われた通りに光の部屋に向かった。


『チィース。 …って、何だ。 パソコンしてたのか』


ノック無しで入ると、光に怒られた。


財前「ノックして入って来るという常識がないんか、お前は」


『私、常識人じゃないもんで。 …で、何してたんだ?』


放送していた謙也とクララの音をパソコンに取り入れているらしい。 近頃は何でも出来るなぁ…と思ったのは言うまでもない。


財前「名前、何しにここに来たん?」


『光のお母さんに連れてこられたんだよ。 夕飯、腕振るうから来てくれって』


財前「・・・オカン、相当名前を気に入ってるみたいやな。 どんだけやねん」


『まぁ、気に入られて損をしたことはないから、良いんじゃねぇの? 子供は嫌いだけどな』


財前「うち、甥が1人おんで。 まだガキんちょや」


『うわ、最悪。 帰ろうかな…』


財前「ここの部屋おれば、甥は来ぉへんで。 俺が怒るから」


『ナイス光! って…なんで怒るんだよ』


財前「前、甥が部屋に入ってきたとき、俺パソコンやっててん。 甥が扱い方知らんで、大事なデータを一気に消去してもうた。
甥にキレて、1週間一緒に遊ばんかったら向こうから泣いて謝って来おった」


うわ、コイツ怖すぎだろ。 まぁ、そりゃ怒るけどな…


光に同情しつつ、部屋に置いてある電子ピアノを扱い始めた。


財前「壊すんやないで」


『こう見えて、機械には強い方だから大丈夫だ。 もし壊したとしても弁償する』


椅子に座り、カノンではなく…戦場のメリークリスマスを弾き始めると、光が電源を消した。


『何してくれちゃってんのー?』


財前「その曲やなくて、カノン弾いてや。 あれ、俺気に入ってん」


『ハイハイ…』


希望通りカノンを弾くと、光が嬉しそうに笑った。 その時、部屋に誰かが入ってきた。


「光ー。 夕飯出来たって……アレ? 彼女?」


入ってきたのは、1人の綺麗な女の人。 光のお姉さんか義理姉だろう。 どっちも姉さんに代わりないけど。


財前「あぁ、義理姉さんかいな。 今日の夕飯、何や?」


パソコンをシャットダウンさせながら聞くと、今日はちらし寿司とお吸い物とサラダらしい。


どんだけヘルシーなんだwww


義理姉「まぁ、それは置いといて… 何、光の彼女?」


財前「せやで。 かわええやろ?」


義理姉「めっちゃ可愛いわ! アンタ、どこで見つけて来たん? 細いし肌白いし髪は茶色だし! それ、天然なん?」


『あ、ハイ。 そうですよ。 染めたりすると親が煩くて』


義理姉「へぇ…まぁ、普通はそんなんやろな。 というか、関西出身じゃあらへんの?」


財前「東京やで、ソイツ。 もうええやろ、見世物じゃないんやから。 下行くで」


義理姉「ちぇっ… ま、しゃーないわ。 先に行ってるで」


終始明るかった光のお姉さんは、元気よく部屋を飛び出していった。


『げ、元気な人だな… 光も、ああなってくれたら嬉しいんだけどな』


財前「大きなお世話や、阿呆。 あの人は、これ以上ないほど素直やねん。 さっきの反応からして、気に入られたみたいやな」


『・・・そらどうも』


財前「下行くで。 甥がおるやろうけどな」


『そうだった…』


子供が大の苦手な私は、我慢出来るだろうか…
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