ずっと...

□第五章
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バンッ!!


「っ!!…久志、さん?」

「………」


一人悶々と考えていると、店のドアが壊れたんじゃないかってくらい大きな音を発てて開いた


見ると、久志さんがドス黒いオーラを放ちながらそこに居た


「ど、どうしたの?久志さん」


蜜さんも困惑した様子で、その横で棗も同じく困惑している

ただ一人、湊人さんは分かっている様で、呆れた様に久志さんを見ていた


「…ごめんね、恋夜君、棗君、留守にしちゃって」

「い、いえ…」


口調はいつも通り柔らかいのに、顔は無表情で逆に怖い……


「………」


それから、久志さんは、何かをぶつける様にカクテルをカシャカシャと作り続けている


「み、湊人さん…」

「ん?大丈夫、ただの八つ当たりだから」


クスクスとおかしそうに笑いながら言う湊人さんを見て、何度か体温が上がった

………何でだ…?


「ちょっと、行ってくる」

「ぇ、はい…」


何故か、席を立って久志さんの元へ向かう湊人さんを見て、胸の辺りがキュッとなった

ちょっと、苦しい…


「恋夜?」

「棗…、蜜さんは?」

「……久志さん所」


眉を下げて、また俺に引っ付いて来た


「…本当に、どうしたん、お前」

「…今日、泊まり行く」

「良いけど…」


こんなに甘えたなのは珍しい…

いや、最近はそうでもないか?


棗の髪を撫でながら湊人さん達の方を見ると、湊人さんは笑ってて、久志さんは拗ねている様子で、蜜さんは訳が分からないという様子だった


「恋夜〜」

「ん〜?」

「…試合」

「試合?」

「観に、来る?」

「はぁ?」


何を今更…

つか、観に来いって言ったのは棗だろうが


「来て欲しくねぇの?」

「来て欲しい…」

「…何、どうしたの」


グリグリと甘える様に頭を押しつけてくる棗は、何処か不安そうにしている


「……っ、…やっぱ、家で話す…」


「…分かった」


何があったかは知らないけど…

まぁ、話すって言ってるし

今は無理に聞くことも無いだろ











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