小説

□猟期[完]
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「ふ〜、重いよ〜」
赤ずきんはカゴを置き、手を休めました。
祖母の家まで後少し。

「やぁ、お嬢ちゃん」
突然目の前に狼が現れたのです。
赤ずきんは瞳(め)を見開き、ニヤリと笑って
「美味そうな肉…」
…と呟きました。
思いがけない発言に狼は2、3歩後ずさりました。

しかし、すぐに赤ずきんは幼い純真無垢な表情に戻ったので、気のせいだと思う事にしました。

「お嬢ちゃん、俺、凄く腹が減ってるんだ」
赤ずきんはポケットを探り、あめ玉を狼に渡した。
「こんなモン食うか!!」
あめ玉を地面に叩き付けると、煙幕が広がりました。
「なっ!」
煙幕が消える頃には、赤ずきんの姿はありませんでした。
「あのガキ…」
狼は赤ずきんの匂いを探るため、地面を嗅ぎ始めました。
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