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□You are cat?
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「...!!や、やまもとっっ!
 そ、それ...!」
「え?」




突然耳に響いた叫び声に ぼんやりとした頭は一瞬で目覚めた。

いつもと変わらない、のんびりとした朝。
その日は 部活がなかったから、俺は少し睡眠でも と教室の自分の机でうとうとしていた。
俺は元々早起きの癖がついていて、だから登校する時間も早い。
それだからか、校内は静まり返っていて、教室にも俺しか居なかった。
そこに いつもより凄く早めに、ツナと獄寺が入ってきた。

「おはよう、山本」
「おー、おはよーなのな」

眠い瞼を無理矢理開けて、ぼんやりとした視界の中に居る親友に手をふる。

それで、一番最初に戻る。




「み、耳...」

獄寺もツナも、口をぽかんと開けて こちらを指差して突っ立っている。
ツナが漏らすように発した言葉に反応して、自然と頭の上に手が伸びる。

ぽふ、ぽふ。

手を頭の上に置くように触ってみると なるほど、なんだか猫のような耳がついている。
どうやらちゃんとした、本物の耳らしい。
寝起きだからか、不思議とそんなに驚きはしなかった。

「おー...ほんとだ、猫みてぇな耳ついてるな」
「野球バカお前...尻尾までついてやがるじゃねぇか...っ」
「ふえ?」

言われてみれば、尻...というより 尾底骨あたりのスラックスの中が苦しいような、もぞもぞするような感じがしている。
その、スラックスの中で窮屈そうにしている 尻尾らしきものを外に出すと
予想通りそれは、立派に長く生えた尻尾だった。

「すげー...あ、これきっとまだ夢の中なのな」
「バカ、いい加減目ぇ覚ましやがれ! これは夢なんかじゃなくて現実だ!」

べしり、と頭に衝撃が走って、獄寺に殴られたことが分かる。
そのお陰でぱっちりと目が覚めた。

「...それにしても、この尻尾と耳......ね、獄寺くん」
「えぇ、十代目...」
「?」

二人は顔を見合わせもせずに じっとこちらを見ている。

どうしたのな?ふたりとも。

「ねぇ、山本。ちょっと、いい?」
「なんだ?」
「えっと、その...さ。
 その尻尾とか耳とか...触らせてくれない...?」
「え?そんなことか。 別に全然いいぜ?」
「!...ありがと、本当ごめんね?」
「いや、いいって。俺もどんなもんか気になるしなー」
「...なら遠慮なく触らせてもらうよ?」
「おう」

ツナは 高級な宝石でも手に取るかのように、揺れる尻尾におそるおそる触れた。
その次に、尻尾を優しく握って 柔らかく撫でた。
と、その時 ぞくぞく、という擽ったい刺激が背中を走って 思わず声をあげた。

「ふにゃん!」
「ごめん山本 痛かった...?」
「う、んーん。ちょっと...擽ったかったのな。
 気にしなくていいぜ」
「そう...?」

それなら、と今度は耳を ゆるゆると指先で弄り始めた。
これもなんだか こそばゆくって、身を捩りながらも耐えた。
すると、横でずっと見て居た獄寺が 思わず、といった様子で俺の尻尾を掴む。

「ぅ、あ!」
「!!...いきなりでっけー声出すんじゃねぇよ...吃驚すんだろ...」
「わ、悪ィ...」(なんでか謝ってる)

それからの獄寺の手つきは 労わってくれてるのか、それともただ単に丁寧なのか
やけに優しくて、触れられている俺が気持ちよかった。

「すっごい...可愛い、やまもと」
「ん...?何か言ったか?」
「いや、なんでもないよ。気にしないで?」
「?...あぁ。」

気持ち良くて、また うとうとし始めたからか、ツナが無意識に漏らした言葉が聞き取れなかった。
まぁいいか、と持ち前の「気にしない精神」でそんな事は記憶の隅に追いやられたが。

そんなことをしているうちに、本格的に眠気が襲ってきた。

「つな...ごくでら...悪ィ、俺もう眠いのな...」
「あ、ごめんね 付き合わせちゃって...寝ていいよ?」
「...っち」
「うん、ありがと...」

そう一言呟くように言うと、それを待っていたかのように 意識は睡魔に持って行かれた。
















「...と。....まもと。....山本!!」
「へ?あ ん、あれ?」

次に目を覚ましたのは どうやら2時間目が始まった頃らしい。
厳しい事で有名な 数学の教化担任が間近で俺を睨んでいる。

「あれ?じゃない、なにいつまで寝てるんだ! さっさと起きて、黒板の問題を解いてこい!」
「え、あ...はい」

さりげなく 尻と頭を触ってみた。
すると不思議なことに、今朝のことは夢とでもいうかのように 耳や尻尾は消えていた。

(...やっぱ夢だったのな...?)











ある年の、2月22日のことだった。










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