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□Trovi la felicità
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「なぁ、ヒバリ。今日は何の日だか知ってるか?」

唐突に彼がそう、聞くものだから 僕は思わず目を丸くした。




春爛漫の真っ只中。
校庭近くの桜は満開に咲き誇り、少し散り始めてきたようにも思えるほどだ。
やんわりと窓から入って来る春の風は 微かに桜の香りを運んできている。

新入生の部活見学も始まり、全校の授業も本格的に始動し始め やっと学校らしく思えてきた頃。
そしてもう7日もすれば5月になってしまう、という今日。
僕はその日を何の日だか知らないはずがなかった。...が。

「...知らないよ、校内の行事に関わらない日には興味はない」
「まじでか!
 ...知らねぇんならいいんだ、気にしなくていいぜ」

...っち。

「あれ、今舌打ちしたのな?ヒバリ」
「してないよ、なんで僕がそんなこと」
「だよな。...聞き間違いだったのか...?」

聞き間違いではない。
僕は思惑通りにいかない君に少し苛々して 思わず舌打ちをした、その音だ。

(誕生日プレゼントを僕に強請れ。そうしたらキスのひとつでもくれてやるのに)

そう、今日は4月24日 彼、山本武の誕生日だ。

普段から 恋人である山本に人一倍愛情を注いでいる(つもり)の僕が
そんな大切な日を忘れるわけもなく、ましてや一年に一度の大イベントに行動をおこさないわけもない。
しかし。
普通に祝いの言葉を言って 贈り物を渡すのでは、そこらへんに群がっている草食動物と同様の生き物のようで
良い気がしない。
だから 彼が強請ってくるまで、僕は知らないふりをする事にした。

「あ、そうだ。ヒバリの誕生日っていつなんだ?」
「君には関係無いよ」
「いいだろ、誕生日くらい。もしかして雛祭りの日とか」
「...咬み殺す」
「いやいやいや、冗談だって 5月5日、子供の日だろ?」
「!...僕君に教えた覚えないんだけど」
「お、当たったのな!今の勘だったんだぜ」

俺の勝ち、と得意げに にこりと笑って見せる。
あぁ可愛い。
くしゃくしゃと撫でまわして 君が苦しいと言うほどに抱き締めたい。
そんなどうしようもなく愛しい彼への願望を、理性と自尊心でなんとか抑えつつ
僕は思い出したように、を装って 彼に問いた。

「そんなこと言ったら君はいつなの」

突然の質問に え、と驚きつつも 喜びは隠せないようだ。
何故か少し もじもじと恥ずかしそうに照れながら、ぽつりと一言 彼は言った。

「今日...なのな」

僕は その時ふうん、と素っ気無く返しはしたが
内心で らしくないほどのガッツポーズをしていた。

「あ、でな。出来れば...ヒバリからもなにか、くれたらなー...って思うんだけど...
 いや、無理してくれなくていいんだぜ?何も無しだって全然構わねぇから。
 俺の誕生日を記憶の片隅に置いておいてくれるだけでも」

本当、控え目な子だ。
それは僕のような素っ気無い輩と付き合う為の予防策なのか
それとも 幼い頃から仕事で忙しい父親を心配させない為の気遣いが、何時の間にか癖になったのか
どちらにしろ 彼のこんな困った性分さえ愛しく思えるのは、相当僕が彼に首ったけだからだろうと予想できる。

「...いいよ」
「! え、いいのな?」
「そのかわり」

目をきらきらとさせて喜びを体で表現する彼に水をさすように
僕は怪しいほどに目を細めた。

「ものではなくなるけど」

その言葉の意味を知ってか知らずか 
彼は満面の笑みで あぁ、いいぜ。と頷いた。

覚悟しておいてよね。





















「ん...ぁ」

ちゅ、と小さく音をたてて 僕は彼の胸あたりの肌から唇を離す。


あれから 僕は彼を押し倒し、衣服を剥いで 乱暴に浅いキスをひとつした。
困惑する山本に 君がいいって言ったんだ、と笑みを浮かべつつ今後の展開を理解させてやって 今に至る。

思いのほか、彼の反応は早く 既に肌がしっとりと汗ばんでいる様子だった。

ぴくりと小さく震える彼の 小さく興奮を示す胸のソレを軽く舌先で擽る。
すると 擽ったそうに小さく反応を返すものだから、面白くなってそこばかり攻めていると
彼が 熱い溜め息混じりに僕の名を呼んだ。

「そこばっか...苛めねぇ、で」

あぁ、そうか。さすがに君も飽きるよね。
謝罪の意も含め 僕は彼の額に軽くキスを落としてやった。
次に僕は 軽い金属音をかちゃかちゃとたてながら、慣れた手つきで彼のベルトを外しにかかる。 
山本はその音さえ羞恥を誘うらしく 聞くに耐えない、とばかりに耳も目も塞いでいる。
そんな彼を面白く思って 上目遣いに眺めつつ、ずるりとスラックスと下着を同時に脱がせてしまった。

「...わぉ」
「ばっ、ちょっ 見んなって!」

そう言われると見つめたくなるのが 天邪鬼な僕なのだから仕方ない。

「君のさぁ、異常なまでに反応が早くない?」
「っ、んなことねぇの!ってかそういうこと言うなよ...」
「まぁそこが可愛いんだけどね」
「ヒバリのばか...!!」

照れまくる彼を くすくすと面白そうに笑って、僕はさっさと行動をおこす。
軽く自己主張を始めた彼の自身を 手始めに軽く握りこんでみる。
するとそれさえも少し刺激に感じるらしく ひゃ、という少し驚きの混じった声が返ってきた。
壊れ物を扱うかのように 慎重に彼のものに触れる。これも僕なりの愛情表現だ。
こし、こし、と柔らかく先端近くを擦ると 一際おおきく彼がびくりと震えた。
しかし元々 優しく、だなんて性分に合わないものだから 少しだけ乱暴に擦ってみる。
すると意外にも おおきな甘い声を返してきて、僕は満足げに口元に笑みを浮かべた。

柔らかく 優しく手を動かしているかと思えば一瞬乱暴に撫で上げてみたり。
不規則な愛撫が 彼はどうしようもなく好きのようだ。

しかし良い加減 ゆるゆるとした愛撫もつまらなくなってきたので
気紛れに ぴちゃり、と舌を這わせてみる。
あ、と色に濡れた声がして 小さく体がしなる。
ぴとりと吸いつくように 舌を這わせ、犬や猫が毛繕いをするように 丁寧にそれを舐める。
それを何回か繰り返した後悪戯に、わざと尖らせた舌先で 鈴口をぐりぐりと弄ってやる。

「ぅあ、ぁ...や、ひばり...っ」
「なに」
「も...っ、むり...だか、ら」
「そんなの知らないよ」

そう、意地悪く答えると ここぞとばかりにぱくりと彼のソレを口に含むと
絶頂を促すように ぢゅ、と喉の奥で軽く吸ってやった。

「ひば、り だめ...、っあ!」
「ん」

びゅくりと彼が白濁を漏らす。
それを 普段なら口を離す反応が遅れて顔で受けとめることになるものを、今回は咥内で受けとめた。
咥内に溜まって 唾液と混じり、質量を増した液体を こくり、と飲み下し 唇をひと舐めして彼を見上げると
絶頂直後で意識が朦朧とするなか、腹を浮き沈みさせて必死に酸素を体内に取りこもうとしている。
そんな姿さえ愛らしい。
僕は汗で額にはりついた 彼の髪をすくついでに、柔らかく頬にキスを落とした。
すると山本は 怯える子供のように、ぎゅ と僕の首に抱き付いて、軽く頬擦りをした。
そして僕を上目遣いに見上げると な、お願い。と 可愛く強請ってきた。
僕は答えるかわりに、その願いを叶えてやる。
ちゅ、と浅く そして深く、舌を絡めるキスをした。
彼はキスが好きだと この頃知った。

「っふ...ん」


小さく水音をたてて、必死に息継ぎをしながらもキスに没頭する彼が可愛らしくて
あまりキスが好きでないほうの僕でも この時ばかりはキスに夢中になる。

軽く音をたてて唇を離すと 少し名残惜しそうな視線を彼が向ける。
また後で、と頭を撫でてやれば にこり、とした笑顔で了解の意を示す。

僕は彼の下腹部へと視線を落とし ぬるぬると濡れている部分を悪戯に指で液体を混ぜる。
それを彼は 擽ったそうにしつつも、びくりとするだけに留めている。
混ぜた液体で濡れた指先を ここまで一度も触れていなかった、後ろの部分へと伸ばした。
軽く つ、と触れれば びくり、と腰が跳ねた。
先ほど指にからめた液体だけでは ぬめりが足りないと、自分の咥内へと指を入れ 
くるくると軽く掻き混ぜるようにしてから引き抜くと 程よくぬるりと濡れていた。
それをそのまま 蕾へと宛がうと、ぐっと押し入れた。

「ふぁあ!」

びくぅ、と背中がしなり 甘く艶のある声が漏れる。
今さっき絶頂を迎えたばかりだというのに 彼の自身の先端には、白い玉ができていた。
軽くそれを舐めとって ゆるゆると指先を動かし、準備にとりかかる。
時折 良いトコロをかすめて声が上がるが、かすめるだけで触れはしない。
それがもどかしく、決定的な絶頂は来ない為 たらたらと先走りは延々と流れ出続けている。

「は、ぁ...ひ、ばり...っ、まだ...だめ...?」
「挿れてほしいの?」

熱に浮かされた頭で必死に言葉を理解しつつ 小さく頷くその姿が愛しい。

「...いいよ」

すんなりOKを出す僕に さすがの山本も驚いた様子で、少し目を丸くした。
そして可笑しそうに ふは、っと笑みを零すから僕も少し可笑しくなった。
はぁ、とお互い笑いが落ち着いた頃 僕はかちゃりと自分のスラックスのベルトを外した。
そして自分の自身を取り出すと すっかり慣らされた蕾へと宛がう。
山本はそれさえ快感へと変えてぴくりと反応している。

「いくよ」

返答を聞かず 息を詰めると一気に挿入する。
山本は あぁあ、と艶声をあげて 背中を仰け反らせている。

「...っ、きっつ」
「ご、めん...っぁ、あ」

山本の体が、またびくりと体が跳ねて 小さく射精した。
僕は軽く息を整えて 奥へと押し広げるような律動を始める。

「あ、ひゃ...ん、うごい、ちゃ...だめ、っん」
「動かないと終らないでしょ」

はぁはぁと息を荒げて 途切れ途切れに言葉を紡ぐ彼は、こうして意識を保っているのもやっとのようだった。
人一倍成長が早く 体力にも自信があるとはいえ、健全なる中学生の体にはこれほどの運動はさすがに堪えるようだ。

ぐっ、ぐっ と何度か奥へと届かせるように力を入れると どうやら最奥らしい肉壁につきあたった。
ぐりぐりとその部分を押してやると 甘い嬌声があがる。

「...ここ、でしょ イイの」
「はぁ、あ...っ、そ、こ ぁ、ん」

最奥の壁 その一点を執拗に弄くってやると、簡単に彼の表情はとろけて 締めつけも少しばかり緩くなった。
これで動きやすい。
僕はそう、確信して 今までの律動よりも深く 大きく動いた。

「ひぁん! っ、いきなり、なんて...っ、ひど、いのな...っ、ふぁ、ぁ」

そんな 苦しそうな訴えは無視して、僕は行為を続行する。
搾り取られるような蠢きに 快感が背中を這ってくらっと眩暈がする。
そろそろ僕も限界のようだ。

「ひば、り...きす...」

はぁ、と熱い溜め息混じりに お互いの絶頂が近いのを察した山本が、後で と先延ばしにしたキスを強請ってきた。
こんな時にすると、安心するらしい。
キスをしようとかがむと 汗ばんだ彼の腕が首に絡んできて、ぐいと引き寄せた。
キスをするのと同時に 一際大きく挿し入れて、山本の背中がおおきく仰け反った。
山本は本日3回目の絶頂を迎えて 彼は体を強張らせた。
射精時特有のおかしな締めつけに つられて僕も彼の内へと白濁を漏らした。
許容量を越えた、どろりとした重みのある液体が 結合部から垂れてきている。
唇を離す動作と一緒に 穿たれた自分のソレを引き抜いて、それにびくりと小さく反応を返した 山本の頬をひと撫でしてやる。
肩で息をして 肺へと酸素を一生懸命に送り込んでいる彼に、良く頑張ったという意味のキスを頬に落とす。
先ほどまで保たれていた体の熱は 常温の空気によって急速に奪われていった。




「...な、ひばり」
「なに」

少し落ち着いて、とろとろと眠くなっている彼が やんわりとした笑顔で 僕の名を呼んだ。

「ずっと...ずっと一緒に、居ような...? 10年経っても、20年経っても 毎年、誕生日一緒に居られるように」
「...うん」
「おれ、ヒバリが居ねぇと...寂しくて...だめ、だから...」
「...うん」

それだけ言うと、もう眠いのな とぽつり目を擦りつつ彼が漏らした。
寝た方がいいよ、と頭を優しく撫でてやりながら柔らかく言うと うん、と子供みたいにぼんやりと頷いた。
おやすみのキスを額に落として その場を離れようとした、その時 ひばり、とまた呼び声が微かに聞こえて そちらを振りかえる。
すると 寝転んだままとろりと眠そうな目で、山本がにこにことこちらを見つめている。
どうしたの、と首を傾げると 手招きをするから近くに寄って、耳を貸せと言うから彼の口元に耳を寄せた。
すると、こそっと 彼が嬉しそうに言った。

いつもありがと、愛してるぜ

そして 頬にキスをしてくれた。








何時までも 彼が幸せでありますように。
 

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