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□+●日曜日の午後の事●+
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ある、とてもさっぱりとした快晴の日。
近所の公園は日曜日だからかいつもより騒がしくて 沢山の親子で賑わっていた。
さらさらと涼しい風が吹いて、暑い肌に心地良かった。

獄寺は山本と二人でその小さな公園に来ていた。
中学生の二人には当然居場所がなく、大きな木の木陰に突っ立っていた。

二人は散歩という名のデートに来ていた。
山本のふとした思いつきでの行動だが、何もする事のない日にとっては 丁度いい暇つぶしだ。

「なぁ、ごくでら」
「...なんだよ」
「俺らに子供ってできたら、どっちに似るんかな」
「は?...できるわけねぇだろうが、ってか 昼間っからンなこと聞いてんじゃねぇよ」
「冗談だって。...でも子供いたらいいよな」

夫婦みたいで。 そう言って楽しそうに笑った。
獄寺は かあぁ、と一気に赤くなってそっぽを向く。
まぁな、とぽつり 小さく聞こえた。

「あ、兄ちゃん!」
「おー、よぉ」

突然響いた子供の声は山本に向けられたものだった。
にこにこ笑って山本に駆けよって来る子どもは小3くらいの男の子だった。
走って来るなり山本の腰に抱きついて離れない。
獄寺はそれにどうしようもなく腹が立った。

「おいおい、そんなにくっつかれちゃ困るって。な?」
「えー。...ねぇ、一緒に遊ぼー?」
「ん?いいぜ、何したい?」

優しく笑って接する山本にも腹が立った。
なんだよコイツ。ふざけんな。
そう思った瞬間、考えるより先に体が動いて 山本の腕を掴んで走りだしていた。

「ちょ...っ、獄寺?!」

山本の声も耳に届かない。
そのまま公園を出てしばらく走った。
曲がり角を曲がろうとした時、山本が獄寺を引き止めた。

「ごくでら...なんだよ、いきなり...なんで怒ってんの?」
「...うっせ」
「え?」
「さっさとあのガキと遊んで来ればいいじゃねぇか。俺と要るより楽しいだろ」
「獄寺、お前...」
「うっせっつってんだろ」
「やきもち妬いてんの?」

その言葉に赤らんで、妬いてねぇよと言うと山本に背中を向けた。
山本は嬉しそうに笑って獄寺を後ろから抱き締める。

「獄寺って、そういうトコ可愛いよな...」
「な、何言ってんだか...」
「はははっ、可愛い可愛い」

照れて意地を張る獄寺の頭を 山本は優しく撫でた。



空はもう、少しだけ紅く染まり始めていた。

                               +END+

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