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□涙雨が満ちる時
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涙雨が満ちる時







ふとした時にあいつが、白く細い指先で なよらかに俺の手の甲に
ささやかにくるくると円を描いて ただ、それだけ。
そういうとき。

なんでだか分らない。あいつが俺に何を伝えたいのかも分らない。
けど、ただただ どこか切なくて、胸にあの白くひやりとした手が入ってきて 心臓をきゅっと掴んだみたいな
苦しさ。

どうしようもなく愛しく、切ない仕草。






「ねえ、もし」

ああまた始まった。

「僕が死んだら君は、」

どうするの?







ぎゅ、と抱きしめられて あいつの柔らかなシャンプーの香りを肺に満たしたとき。

こうやって、生きて 動いてて 柔らかくて、なにより暖かい ヒバリに
俺がこうして、愛しさに満ちた気持ちで触れていられることって、すごく尊いんだなあ とか
いつ死んでしまうか分らないこの命に、一秒でも長く触れていられることは それだけで
幸せなのな。
そう考えてしまえば、もう。











こころのなかが なみだでいっぱい。




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