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□vivere
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自分は不器用だって分かってる。
それを隠そうと、器用に見せる自分は嫌い。
それでも雲雀は 弱いところを見せられないから、格好付けて立ち振る舞う。

そんなことをしていても 山本の命が終る瞬間までのカウントダウンは止まりはしない。
刻々と近づいて、ついには終りを告げる。
何をしたってカウントダウンの掛け声は止まらない。
その声は、山本に聞こえていないことを願う。

死んでしまうことは分かっていて、会うたびに悲しくなるのも分かっている。

でも

会いたい。

山本が笑う、ただそれだけで こんなにも世界が綺麗に見えるなら
例え 何時か消えてしまう光だとしても、何回でも見に来よう。

そんな希望さえも持てていなかったなんて、山本は可笑しく思うと予想できる。
そんな山本に有難う、と言おう。

山本のように 透き通って、水のように さらさらとした心であれたら。
あぁ、どんなにか良いことだろうと 考えてやまない。

そっと山本にくちづけた。

もし会えなくなるなら。
寂しくなるなら。
その時の分まで愛そう。
何回でも。
この記憶に、体に、山本を焼き付けて 一生忘れないようにと。

いつかは消えてしまうなら。残されていくなら。
それなら責めて、明日に賭けよう。
責めて明日を美化しよう。




限りある未来を待つこの世界を
どれだけ愛すことができるだろう。
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