NEXT STORY
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あれから1週間が立ち、今日はリョーマの試合の日。
柿ノ坂ジュニアテニストーナメント 16歳以下の部
今日、この日
───NEXT STORYが始まる
「リョーマ!」
「えりな、準備出来た?」
「うん!!」
「行こっか」
「おーい、えりなちゃーん。」
リョーマの試合を見に行こうとすれば、おじさまに呼び止められ「買いもん頼まれてくれねえか」と頼まれた。
泊めさせてもらっている立場なので断ることが出来るはずもなく、買いものが終われば行くと伝え少し不機嫌なリョーマを見送った。
そーいえばリョーマって桜乃に道を間違えて教えられて失格になるんだっけ?
でもまあ私が行ったらリョーマは桜乃に会わなくなって初っぱなから話を曲げることになる…。ネタバレは好きじゃないの。だからこの世界が2次元だとは話してない。
「買い物って私の制服のことだったんだ…。」
おじさまが私に頼んだ買い物とは、青学で必要となる制服とかローファーや靴下、上靴のことだった。
制服は原作と同じ青色。似合う自信がない。こんな色…漫画の世界だから許されるんだよ。
「どーん!!」
「わー、桃ちゃんカッコいい!!」
買い物が終わり、リョーマの元へと行く途中に幾分聞きなれた声と聞き覚えのある桃ちゃんと言う単語が聞こえてきた。
それは私の右側にある階段を上ったとこから聞こえてきているらしく、その証拠に子供たちの声が響き渡っていた。
「(見に行こうっと)」
原作を見に行くのもいいが原作にはないものを見るのもまた、いいものだ。そう思ってトントントンと軽やかに階段を上ると桃ちゃんが子供たちにテニスを教えている。大丈夫だとは思うけど、褒められすぎたら桃ちゃんならダンクスマッシュを教えそうで怖いなぁ…
「桃ちゃん!!今桃ちゃんが練習してる技を見せてよ!」
「おーいいぜ。ジャックナイフってんだ」
そう言うといきなりジャックナイフをしてみせる桃ちゃん。この時点で出来たのかと目を丸くさせて観ていたが、やっぱり練習している技というだけあって、出来るわけもなくそのまま座り込んでしまった。足を挫いたのか、痛そうに足を触っている。
ボールが飛んでいかないように、高いフェンスのあるテニスコートに荷物を置いて断りもなく中へと入っていった。
「何してるの?ジャックナイフなんて普通高等技術中学生の出来る技じゃないんだから無茶しない」
「え?!アンタ誰だよ…。」
「今度青学に転校する夢咲えりなだよ。はい、自己紹介終わり!足見せて。」
「転校じゃなくて入学だろ?先輩には敬語使わなきゃイケねえな、イケねえよ。痛ええええええっ!!」
「桃ちゃんだっけ?青学は中3から入学するのかな?」
「ス、スンマセン…」
私が幼いんじゃない、お前らが老けているだけだ。そういいながら足を応急措置し、病院には行くように勧めておいてそのまま柿ノ木坂に向かった。
「あ、佐々部との試合終わってる…」
佐々部がビビりまくってるからたぶん終わってる。
そこには竜崎一家がいて、「すんげ、原作」だと場違いなことを考えていた。コートのすぐ側までいくとリョーマが私に気付き「遅い」と言われてしまい「ごめんね」と一言謝った。
「おい女!」
「私?」
「お前コートに入れよ。」
「え?!無理無理!!私、テニスやったことないもん!!」
「知るか、入れよ…っ?!」
バンっ…
「ぐあっ!!」
「アンタまだ足りないの?」
「ち、ちくしょ…!!」
完璧なる八つ当たりに困っているとリョーマがツイストサーブを打ち、佐々部の顔面に当てる。痛そうに顔を押さえながら慌ててコートから出ていく佐々部に続きリョーマもゆっくりとコートから出てきた。
「リョーマありがと」
「ん」
「帰る?」
「だね。…えりな、それなに?」
「制服だよ。」
「貸して、持つ。」
「ありがと」
そこまで重くはなかったが、リョーマの優しさが嬉しくてつい甘えてしまい制服の入った箱を渡した。
何だか押さえきれない何かに興奮してとりあえず腕に抱きついておいた。リョーマは驚いたが、引きはがそうとはしないでクスッと笑って帰路につく、おじさまにからかわれたのは言うまでもない。
天才少年
(さすがだね、)