L and えとせとら

□落ちた霆と咲いた花
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***




誰かに名前を呼ばれたような気がした。

私はそれに答えるようにゆっくりと重い瞼を開く。

すると見覚えのない天井に、暖かいベッドの様な感覚。



「っ!?」



今自分が置かれている状況が理解できずに勢いよく身体を起こすと、すぐ隣には金髪に赤いドレスのようなものを纏った人型のポケモンがいた。

そのポケモンはゆっくりと私に向かって手を伸ばす。



「…や…いやっ!」



慌ててそのポケモンの手を払うと、その手は宙を彷徨って力なく身体の横にぶらさがる。

少し悪いことをしたと思ったが、それ以上に私は誰にも何もして欲しくなかった。

怖かった。

困ったようにこちらを何度か見ていたポケモンだが、部屋の扉が開き人が入ってきたときには安心したように見えた。



「目が覚めたのかい?傷は痛まない?大丈夫?」



紫色の髪をした青年にたくさんの質問を投げかけられた。

しかし私にはそんなもの関係ない。

早くここから逃げ出したかった。



「…やめて、こっちに来ないでっ…!」


「どうして、君は怪我人だよ?休む義務がある」



そう言って彼は私を寝かせようと手を伸ばしてくる。

嫌だ。怖い。何もしないで。

思わず青年を押してしまった。

しかし、同時に全身が軋むように痛み出した。



「っ……痛…」


「…っほら、やっぱり怪我人だ。いいから休んで。ボクは何もしないから」



私の押した力が弱かったのか、青年は少しよろめいただけで済んだようだ。

そしてそのまま青年の手が両肩に触れて、優しくベッドに寝かされた。

全身に駆け巡る痛みと疲労がいきなりまとめて圧し掛かり、私はそのままゆっくりと瞼を閉じた。









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