短編
□初代はくしゅ
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「次はどこに行きたい?」
今日のイツキはとても積極的、な気がする。
いつも以上に気にかけてくれていて、普段も優しいのにもっと優しく感じる。
少し嬉しくて私は頬を綻ばせる。
私のそんな顔を見たのか、イツキも嬉しそうに微笑む。
「どうしたの?そんなに笑顔で」
そう言ってイツキは私の頬に手を添える。
なんだか恥ずかしい。
顔が熱くなっているのが自分でも分かって、つい下を向いてしまう。
表情は見えなかったけど、イツキがくすりと笑ってゆっくりと手を離す。
少しの間のあとにイツキが声を掛けてくる。
「・・・そうだな、ちょっとそこの公園に行かない?この時間帯の景色がきれいだよ」
ほら、と続けてイツキは私に手を差し出す。
私も何も考えることなくイツキの手を掴んでついていく。
しばらく歩いたところで、目が覚めたように私はとあることに気がついて思わずイツキの手から逃れた。
するとイツキは驚いた様子で私の目を見ている。
「・・・・・・どうしたの?ボク、何かしたかい?」
「・・・・・・っ・・・」
とても悲しそうなイツキの表情を見たら、胸がずきんと痛んだ。
でも、どうしても気にしちゃう。
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