短編
□二代目はくしゅ
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今度はそっと、彼女の頬に触れる。
暖かくて、柔らかい。
するとボクの手が気持ち良かったのか、彼女は僅かながら口を綻ばせる。
なんなんだろう。
ボク自身の手で彼女を喜ばせることが出来たのが、とても嬉しい。
ボク自身の手で彼女が幸せになると、ボクまで幸せになれる。
突然にボクの中の何かが満たされた感覚に陥り、そっとお互いの距離を縮めていく。
「好きだよ、」
そう一言だけ断って、ボクは口付けた。
触れるだけのものなんかじゃない。
仮にもこれは悪戯だ。
もっと長く、深いキスを彼女に与えた。
しばらくしないうちに彼女は目を覚まし、硬直している。
しかしボクは尚もキスを続ける。
すると状況を理解したのか、彼女は慌ててボクの胸板を力なく叩いた。
仕方なく離れると、彼女は顔を真っ赤にしていた。
酸欠か、あるいは。
色々考えが浮かんだが、そんなことはどうでもいい。
「おはよう。良い夢が見れたかい?」
ボクが笑顔で尋ねると、彼女が今度は耳まで赤くしてそっぽを向いた。
そしてとても小さな声で何かを呟いていた。
「……イツキの夢を、見てた」
思わずボクは、彼女を抱き締めた。
突発的に作った2代目はくしゅ
甘すぎて反吐が出る
2010*01*01