NOVEL

□伝えたい
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夜の公園。



見渡しても辺りに人影は見当たらない。


桜が咲く季節だが、夜はそれなりに冷え込む。
寒さで冷えた手を擦り、温めようとするもなかなか温まらない。





去年の今頃は、こうではなかったと思い出す。




夜の桜を見上げながら、二人で歩いていたあの日のこと。
幸せだと感じていた、あの日のことを。







『うぅ――…、寒い…』


『だから言っただろ。寒いからマフラー持ってこいって。』


『だって…』
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