NOVEL

□伝えたい
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他愛ない約束に縋るように、桜が咲き始めた頃からこの場所を毎日訪れていた。


それはもう、賭けのようなもので。

別に、電話もメールもしようと思えばできた。



でも、もしも彼がこの他愛ない約束を覚えていてくれたのならば。







伝えたい。








もう、後悔はしたくなかったから。







そして、毎日通うようになってから何日か経った夜、あの約束の丘に、






――――…彼が、いた。
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