SNOW*ROSE

□序章
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ここは人がいる世界と異なる場所。

「黒漣(こくれん)。人界に白雪が生まれたらしい」
「だったらなんだというのだ」

白雪というのは、世界が崩壊する兆しを見せたときに生まれるものの事を指す。
白雪だけが、世界の崩壊を止める事が出来るのだ。

「黒漣、なぜそういう?」
「世界の崩壊などに興味はない」

神の役目は世界が常に安定して存在していられるように見守り、手を貸す事。
それを放棄するのは決して許されない。

「黒漣……」
「だが、今回の白雪は面白そうだな」
「お前…面白そうって…」
「泉爛(せいらん)、邪魔はするなよ」
「了解」

白雪には一人の神が付き従う事も決められている。
そうしなければ、人のみで世界を守る事など不可能だからだ。

「ならば白雪を神として生まれさせればよいものを」

黒漣の言葉は白い空に吸い込まれていった。
この世界は人が住む人界と神が住む神界とで成り立っている。

世界の崩壊が起こるのは、人が禁忌を犯した時。
禁忌は当時世界を創った神によって定められた。
今存在している理もだ。

すべてが平穏な世界がくる事を望みながら、それは不可能だと知っていたのだ。

すべての存在する生物が。
 

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