SNOW*ROSE

□第6章
1ページ/3ページ

白雪と咲菜、そして黒漣は竜魅の部屋の入り口でただ呆然としていた。


わけが分からない。
どうしてこうなってしまったの?
なにを間違えてしまったの?


「竜魅・・・あなたなにをしたのか分かってるの・・・?」

震える声で白雪が必死に言葉をつむぐ。
白雪の後ろでは、咲菜が口を両手で覆って嗚咽をこらえているのが感じられる。

「なにって・・・だからお母さんをよみがえらそうと・・・」
「違うっ!!お父さんと弟君がどうなっているのか分かってるのって聞いてるのよ!!」
「へ・・・?見たまんまでしょ?死んでるよ?」

当然のように言う竜魅が恐ろしい。
普段の竜魅はそんなことを言うような人ではない。
命を大切にして、愛す人だ。
いったいなにが竜魅を狂わせたのか・・・。

うつむいてしまった白雪に黒漣がつぶやく。

「もう手遅れだ・・・。せめてお前の手で殺してやれ」

その言葉に白雪は顔を上げる。

「そんなことっ!」
「しなければ神の協力は得られない」
「っ・・・」

自分で言い出したことだ。破るわけにはいかない。
それでも大切な親友を殺すこともできない。
世界が崩壊していくのをただ黙って見過ごすこともできない。
咲菜と約束したのだ。

友か世界か。
白雪はその2つの選択の中で揺れ動いていた。

(どうしてこうなったの?なにか他に方法はないの?)

「白雪・・・咲菜・・・。なんで泣いてんの?」

不思議そうに聞いてくる竜魅の瞳は、まるで小さな子供がおもちゃを手に入れたように輝いている。

(どうしたらっ!!)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ