SNOW*ROSE

□第1章
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17年後
2009年 4月20日
香川県

「ねぇ〜白雪、今日遊べる?」
「いけるよぉ〜」

しらゆき。
それがわたしの名前。

生まれたばかりの頃に光っていた髪の色と、その日降っていた雪から名付けられた。
でも、今のわたしの髪の毛は普通の黒髪に、少し茶色掛かった瞳。
普通にいる高校生だった。
いや、そうだと信じ続けてきた。

そして今も。

「咲菜ってもうすぐ誕生日だよね?」
「うん!」

わたしの隣にいるのはさくな。
同じ病院で同じ時間に生まれた大切な親友。
2人は今までずっと一緒だった。
そしてこれからも。

咲菜は、わたしと違って、赤い髪の色に、朱色の瞳。
そのせいで、いつも上級生や先生に嫌われていた。

だからわたしは少しでも力になれるように、勉強を頑張った。
運動が出来ないから。
せめてそれだけでも。

本当は気付いていたのかもしれない。
咲菜と共に背負った運命に。
でも今は、その運命から逃れたいから、すべてから目をつむり、耳をふさいで気付かないふりをした。

でも、もう限界だ。
だってほら、世界が壊れ始めている。

けど、まだ時間はある。
だから、少しでも今、自分が後悔しない生き方をしようと誓った。
誰にでもなく、自分自身に。
鈴乃 白雪に。
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