SNOW*ROSE
□第1章
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もし、この世界が崩壊したら、どうなるのだろう。
大切な人は?
きっと、今何もしなかったら後から後悔するのを知っている。
だから、わたしは何でもする。
あなたがいるかぎり、わたしは諦めない。
「竜魅!!」
咲菜が、黒漣によって助け出された竜魅のもとへ駆け寄っていく。
「なぜあなたは竜魅を助けてくれたの?」
わたしは、どうしてもこの男が信用できない。だっておかしいじゃない。
この男は1度もわたしたちと会ったことなんてないのに。
『交渉したいことがあるからだ』
ほらね。タダでは何もしてもらえないのよ。
「何?」
『この世界の崩壊を防げ』
聞きなれない言葉と、ありえない発想に、白雪も、盗み聞きをしていた咲菜ですら、耳を疑った。
「どういうこと?世界が崩壊するなんて聞いたことないわ!」
白雪が、黒漣にむかって叫ぶ。
でも、わたしは知っている。
世界は崩壊することを。
『世界が崩壊せずにいられる期間は1年。その間に防げなければ、世界は終わりだ』
わかってる、ずっと前からわたしは知っているの。
だってあの時、100年前に同じことが起こったんだもの。そして、わたしはそのとき、違う人間として存在していたの。
でも、どうして今なの?
なぜ・・・・・・?
「白雪、世界の崩壊を防ぎましょう」
「咲菜?どうして知っているの?」
聞きたくない。わたしはその真実を知りたくない。
知ってしまったら、もう逃げられなくなってしまう。
「どうして?簡単じゃん。100年前、あの時一緒にしたじゃん」
あぁ・・・咲菜は覚えているのに、わたしは
覚えていないの?
「そんなの・・・わたしは知らないわ・・・」
『白雪よ。思い出すまで、咲菜とそこの女と過ごすがいい。だが忘れるな。そうしている間にも、世界は崩壊しつつあるのだ』
「分かった・・・わ」
白雪の口がひとりでに言葉をつないでいく。
そのとき、意識を取り戻した竜魅がむくりと起き上がる。
「ん?白雪、咲菜、どうしたんだ?」
竜魅がなかなか動こうとしない2人を心配して声をかけた。
「竜魅・・・いつ気がついたの?」
「今さっきだけど」
「・・・そう」
わたしと咲菜は100年前にもう一緒にいたっていうの?
竜魅は?
竜魅もきっと何かの運命を背負っている。そう分かった。
どうして?
100年前のわたしがそう言っているから。
わたしは何を信じたらいいの?ずっと信じていた咲菜でさえ、わたしの知らない咲菜になっているのに。
ううん。違うの。本当は知っているの。
咲菜はあの時からなにも変わっていないんだ。
変わったのは、わたし自身なのよ。
助けて。黒漣。