SNOW*ROSE

□第2章
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衝撃的な出来事が起こってから2日がたった。
わたしは、出来るだけその話題に触れないようにした。
だって、きっとその話に触れると崩れてしまうから。
咲菜との関係が。

「白雪、咲菜!次は移動教室だから早く行こうぜ!」

ぼーっと考え事をしていた白雪は竜魅に声をかけられて我に返る。

「あ、うん」
「分かった」

おそらく咲菜も同じだろう。
白雪はわざと咲菜との間に竜魅を挟み込むようにして歩く。
どうしたらいいのか分からなかった。
すべてのことが突然頭のなかに入ってきて。
混乱しているのだと思う。
けれど、それを打ち明けていた咲菜とはなかなかいつものようには接することが出来ない。
竜魅はこれ以上巻き込んで命の危険にさらしたくない。
本当のことを言うと、100年前のことを思い出しつつあった。
けれど、それを認めたくないと思う自分がいるのだ。

「白雪?」
「えっなに?」

竜魅が心配そうに覗き込んでくる。

「顔・・・青いみたいだぜ?大丈夫か?」

予想もしていなかった言葉にドキリとした。
確かにいつもよりめまいがしていると思った。

「え、平気。大丈夫よ」

にこっと笑顔で言う。

(きっと疲れているだけよね?そうに決まっているわ)

そう自分を納得させて、ぐいっと竜魅を引っ張った。

「そっか・・・じゃぁいいんだ」

白雪の様子に安心したのか、竜魅がほっと息をつく。
その影にかくれて、咲菜が心配そうに見ていたことは、白雪は気づかなかった。

「キーんコーンカーンコーン」

授業の終わりのチャイムがなる。
そのころには、白雪の顔は真っ青になっており、自分でも体が震えていることが分かった。

「なぁ・・・白雪、先生に言ったほうがいいんじゃ・・・」
「へ、平気よ。なんでもないから」
「でもっ」
「大丈夫よ」

そんなことを言っても、竜魅はなかなか信じてくれない。
それもそうだろう。
周りから見ると、白雪の様子は明らかにおかしい。
顔からすべての血がなくなったように白いのだ。

「白雪、保健室に行くよ」
「咲菜!?」

それまでただ見ていただけだった咲菜が突然白雪の手首を握って保健室へ向かって連れて行こうとする。

「竜魅、荷物をお願い」
「あ、分かった」

咲菜の力に必死に抵抗しようともがく。だが、咲菜の力は思いのほか強かった。
と、突然振り向いた。

「な、なに?」
「白雪、お願い。一緒に世界の崩壊を止めて!でないと・・・白雪が・・・死んじゃう・・・」
「え・・・?どういうこと?」

信じられない言葉を聞いて、白雪は力なく床に座り込んだ。
なにもかもがわたしのすべてをかき乱していく。

雪は、白い。
だから簡単に赤く染まるのだろう。
自らの赤い血に。

世界を救うには何かを犠牲にしなければならない。
それは当たり前のこと。
でも犠牲にしたくない存在がいることもまた真実なのだった。
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