SNOW*ROSE

□第4章
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言われるまま、白雪も瞳を閉じる。
そして体が変に浮き上がる感覚がした後・・・気がつけばまわりは何も知らない場所だった。

「ここが・・・神のいる世界?」
「そうだ」

そこは人がいる世界とはまったく違う異次元。
美しい花が咲き乱れ、空気は澄んでいて、動物が言葉をかわしている。
耳をすますと、植物も言葉をかわしているようだ。

「すごい・・・」

ここはこんなに美しいのに、なぜ人がいる世界はあんなに汚れているのだろうか。
そんなことは分かりきっている。
人の心が汚れているのだ。
あぁ・・・。と思った。神にとって世界とはこういうものを指すのだと。

「残酷なものよね・・・」
「なにが?」
「人の上に立つ世界はこんなにも美しいのに、助けてくれないなんて・・・。人は神にいつも祈っているのに・・・」
「そんなものお前たち人間が勝手に頼っているだけだろう」
「そうね・・・。そうかもしれないわね」

分かっていたことだ。人の祈りや願いにされない、そのものこそが『神』。絶対的な存在。けれど、無尽蔵の力を持つ神とは違い、人には限界がある。だから神に助けてもらわなければならない。

「伝えないといけないわね・・・」

ここにきて確信した。
神はあまりにも酷い。
世界の崩壊を人間だけのせいにして、手伝おうとしない。けれど同じ世界にいる。
この差はなんなのだろう。

「黒漣」
「なんだ」

このことを神であるすべてに伝えるためには、この神に分かってもらわなければならない。
そうでなければきっと戦えない。
人に罪があるのならば、神にも罪は存在する。
人を裁くのが神ならば、神を裁くのも人である。
ともに同じ世界に立ち、生活しているものだということは変わらないのだから。

「あなたたちも罪を背負うべきよ」

ここにこれない人たちのためにわたしは、わたしができることをする。
それは小さなことかもしれない。
けれど決して無駄なことではないはずだから。
わたしは戦うと決めた。
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