SNOW*ROSE

□第5章
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「竜魅の家に行くなんて久しぶり♪」
「まぁ・・・家が壊れちゃったしね」

白雪と咲菜は竜魅の家に向かっている。
3人とも同じ団地なので歩いて5分とかからない。

「そういえば、家が壊れたとき、竜魅のお母さん・・・死んじゃったんだよね・・・?」
「うん・・・本人は平気な顔してるけど、やっぱりつらいと思うよ。あんまりそういう話はしないほうがいいと思う」
「うん・・・そうだね・・・」

白雪はぎゅっと手のひらを握りしめた。
竜魅のお母さんが死んでしまった原因は自分にあるのだ。直接関係はなくても・・・。

「白雪・・・・・・」
「大丈夫だよ。わたしがこれからしなきゃいけないことはたくさんあるんだから・・・。それにもう、迷わないってきめたもの」

白雪の言葉に咲菜はにこっと笑った。

「でも今は宿題を終わらせないといけないんじゃないのー?優等生の白雪さん?」
「そうなのよね・・・いつもなら2日で終わるのに・・・」

あの大量の宿題を2日で終わらせられるのもすごいと思う。
いつも夏休みぎりぎりで宿題を終わらせる咲菜は冷や汗をかいた。
禁忌を犯した人間をさがすには今日中に宿題
を終わらせなければならない・・・と。

「咲菜?どうしたの?」
「いや・・・もう・・・今日は死ぬよ・・・」
「死んだらダメじゃない?」
「うっ・・・。あ、竜魅の家についたよ?」

咲菜のいうとおり竜魅の家の前だ。
白雪はインターホンを鳴らした。

「・・・・・・」

無言。
もう1度鳴らしてみる。

「・・・・・・」

やはり無言。

「あれ?いないのかなぁ?」
「でも竜魅は時間守る人じゃん。それにあたしたち5分くらい遅れてきたし」

どこかに出かけているのかと思ってガレージをのぞく。
だが、車もちゃんとある。もちろん自転車も。

「なんでだろう・・・」

嫌な予感がする。
“禁忌を犯した人間が誰なのか知ったとき、そなたはそのものを殺せるか?”
あの時いわれた言葉が耳から離れない。
そのとき、黒漣が白雪と咲菜の前に現れた。

「黒漣、どうしたの?」

黒漣の表情は険しい。

「禁忌が行われた・・・」
「え・・・・・・どこ・・・で・・・?」

どくんっと心臓がはねる。
嫌な予感が現実になりそうで・・・怖い。

(お願い・・・違っていて・・・!!)

でも・・・現実は冷たかった。

「この家の中でだ。おそらく竜魅というやつがしたのだろう」

あぁ・・・。と・・・そういうことなんだと思った。神の長はこのことを知っていたのだと。だからあんなことをいったのだ。
殺せるわけがない。誰よりも大切な友人を殺せるわけがない。
けれど、殺さなければならない。
ぎゅっと手のひらを握り締めてうつむいてしまった白雪に咲菜はいった。

「でも、まだ確認してないんだし、うそかもしれないじゃん!?」

そういっている咲菜も禁忌を犯したのは竜魅だと分かっているようだった。
黒漣が、神がうそを言うはずがないのだから。前世の記憶を持っている咲菜がわからないはずがない。
白雪は玄関のとってを握り締めて引いた。

「鍵・・・開いてる・・・」

まるで入って来いとでもいうように。
白雪は瞳にたまっていた涙を拭った。そして家の中へ入っていく。
家の中はとても暗くて、よくない“気”がたまっているのが分かる。
白雪は無意識に竜魅の部屋へ向かった。
引きつけられるように。
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