時有ノ少女
□第零幕
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遠い昔の事です。
ある村のすぐ横に森がありました。
その森は常に暗く、
カラスの鳴き声が不気味に響き渡っていました。
その不気味さから、村の人々は森に入ろうとしませんでした。
そして森にはある呼び名がありました。
『魔女の森』
それがその森の呼び名です。
実際に森に入って魔女の姿を見たものはいません。
ですがなぜか、その村には
『あの森には魔女がいる。
だから決して、近づいてはならない。
不用意に近づけば、魔女に殺される。』
という噂が流れていました。
その噂を信じ、村の人々は森に入ろうとはしませんでした。
しかしある日、ある農家の青年がその噂の真偽を確かめようと
村の人々が止めようとするのも聞かず、
森に入ってしまったのです。
青年の名は
『ロウェン・カータス』
この物語の始まりを作る青年です。
ロウェンはたった一人森に入り、
そして知るのです。
人々が決して侵してはならない領域があることを。