ライチ★光

□Ama cominciare con zero 2
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凛と空気が張った中、ゼラは白い息を吐きながら片手の温かい缶を持ち替えた。


(寒い…)


白い息がやけに白く見えた。
背景が黒く、夜だから余計に。


「ゼラ!お待たせ」


ニコニコと裾を揺らしながら駆け寄るジャイボ。
黒い下地に花が咲き乱れるが、それは決して品が悪い訳ではない。


「どう?僕が作ったんだよ」
「…器用だな」
「んもぅ、それはそれで嬉しいけど…」
「似合ってる」
「本当?」
「あぁ」
「嬉しい!」


恥ずかしげも無く抱き着く。


「乱れるぞ」


合わせや裾を直してやり、ゼラは歩調を合わせて歩き出す。


「ふふふ」


腕組みをしながら歩く2人。


「何をお願いするの?」
「言ったら意味が無いだろう」
「だってゼラは神頼みとかしなさそうだもん」
「そうでもない」


神が複数存在する神道等は納得がいく、と続けた。


「選択肢がある、つまり運命や試練を選択出来ると言う事だろう」


頼む神は自分で選べる。
そして選ぶ神は様々で、複数いる。

一人を崇め讃えるよりよっぽど信用出来る、と言う結論だ。


「ふーん、僕はどっちでもいいかな」


最後に信じるのはゼラだから


「僕は神なのか」
「神様より上」
「そうか」


小さな頃老婆に言われた言葉を思い出した。

将来ヒトラーの様な偉大な支配者となる、と。

ゼラはいいかもしれない、と思った。


(こいつを征服出来るなら…)


まだこの事は言わない。


調子に乗せてたまるものか。
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