小説

□砂時計と地図
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 世界は平面だ。
 けれども誰もその事に気付かない。特に大人ってのは石頭で嫌になる。
 だから教えてあげるんだ。
 世界はまっ平らだって。
 目の前の大きな紙にペンを走らせれば世界は息づく。
 私が創造主だ。
 この世界は私の思い通り。
 雨が好きだからいっぱい降らせて、おっきな噴水のある広場を作るんだ。
 そこに住んでるのは強くてカッコいい人たち。魔女とか騎士とか盗賊とか。悪いやつだけど弱い人には優しいの。
 そのとなりは太陽の国がいいな。暖かくて楽しいの。歌とか踊りがたーくさんっ! それでお昼寝するの。
 こっちの国は月とお花の綺麗なの。だったら形もお花が良いな。ここには安倍晴明みたいなカッコいい陰陽師とか忍者がいるの。
 あ、世界を旅する人もいなきゃ。女の子が良いな。
 可愛くてかっこよくて美人で賢くてずーっと歳をとらないの。
 人間じゃつまんないから落ちこぼれ天使。落第天使がいいや。神様にも見捨てられちゃった落第天使なんだ。
 それでね落第天使は時間を操る魔女なんだ。
 魔女は雨の国に住むのかな?
 まぁいいや。でね、このあたりはおっきな国。砂漠があるの。こっちは動物がいっぱいの国。その隣には絢爛豪華な国があってもいいな。それで変な人がいっぱい住んでるんだ。
 大きな紙に地図ができる。
 呼吸してる。
 創造主に応えるように、世界は確かに息づいた。
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