小説

□砂時計と地図
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 創造主は何時だって我儘だと彼女は考える。
 幼い創造主は何度も砂時計をひっくり返しては時間を進め、巻き戻す。そうして我々を人形のように扱うのだと。
 それさえもどこか可笑しく、彼女をコトリと倒せば、もう一人の少女が駆け寄る。
 我ながらよく出来ている。
 みんな決まった動きをするかとも思ったけど、そうじゃない。
 予想外の動きもしてくれるから面白い。魔女はパパの箱からこっそり借りたけど僕の地図によく馴染んだ。きっと記憶を消したのがよかったんだろう。
 花の島じゃ男が女を殺したところだ。また作り直し。どうもこの男は失敗作のようだ。
 反対の端にもっと面白い島を作ろう。とびきり変なの。生きてる人間が一人もいないような平等な島。
 まっ平らな世界は面白くなきゃ。
 そうだ。面白いものを作ろう。
 二人、不幸なやつを作ってさ、何度も悲劇を繰り返すんだ。
 もしも幸せになれたなら創造主への反発か、それとも問いかけか。いや、創造主の気まぐれだろう。
 はじめはアイリーン、死と呪詛の力を与えよう。
 彼女は創造主に代わり裁きをする。
 そして誰よりも不幸になるんだ。
 彼女は罪を憎み、自分さえも罪人と感じだがらも自ら命を絶つことさえできず、常に終わりを望んでいる。そんな不幸が良い。
 可哀想だって?
 面白くするためにはこんな奴の一人二人は必要だ。
 でも、ずっと不幸じゃかわいそうか。
 じゃあ、繰り返す運命から抜け出すヒントをあげよう。
 魔女がそれを持ってる。
 うん。これでゲームはフェアだ。
 あとはなにか面白いもの。
 もう少し世界が出来たら。
 うん。もっと進んで面白くなったら、その時は創造主自らがこの地図に足を踏み入れよう。
 ああ、彼女が幸福になったら、その時が面白くなった時だ。
 ねぇ、可愛い子。
 この創造主を楽しませておくれ。
 我が手によって作られた世界を完成させておくれよ。
 君たちこそが運命の子だ。
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