□ファーストコンタクト
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「それで、話って何ですか?」
「見ず知らずの人から出されたお茶は飲めませんか?」
「そんな話聞きにきたわけじゃないですよ」
「分かりました。お話しましょう。私が貴女たちの事を知ったのは、市民体育館の爆発騒ぎです」
「あれは、私たちがやったことだなんて新聞にもニュースにも出てませんよ」
「そうですね。でも、分かりますよ。なぜなら、私もその時市民体育館にいたのですから」
「脅迫ですか?」
「違いますよ。私、実は“あしながおじさん”に憧れていましてね」
「はぁ・・・」
「貴女たちの“戦争”の援助をしたいのですよ」
「はぁ?」

この時、琴乃は「このジジイ頭おかしいんじゃないの」と思った。そして由愛は「このおじいちゃん、ちょっと変わってる」と思った。

「詳しい事情は分かりませんが、確か体育科の先生と戦争をしているのだとか」
「まぁ、そうですけど」
「ですから、その戦争の援助をしたいのです」
「慈善事業がしたいんですか? それともロリコンで子供から毎月手紙がほしいんですか?」
「手紙は、いただけたら嬉しいですね。でも、大きな理由は私の娯楽ですよ。戦争の資金他援助します代わりに、間近で貴女達の戦争をしているところを見たいんです」
「はぁ・・・」

「やっぱり、このジジイ変だ」琴乃は思った。「そっかぁ。おちいじゃんも退屈なんだね」と由愛は思った。

「いかがですか?」
「いかがも何も、その言葉そのまま信じられると思ってるんですか?」
「そう言うと思いまして、ココに誓約書があります」
「誓約書?」
「どうぞ。じっくり読んでくださってかまいませんよ。貴女達にとって十分すぎる待遇だと思いますが」

   誓約書
・甲は乙が戦争をするにあたり、いかなる場合であっても援助をし続けることとする。
・また、乙がいかなる立場におかれても甲は乙の見方につくものとする。
・乙は甲を楽しませるものとする


「あの。もっと分かりやすく書いてくれませんか?」
「申し訳ありません。これでも十分噛み砕いて書いたつもりなのですが」
「琴ちゃん。何て書いてあるの?」
「ん? この田中さんは、ウチらを援助して、いかなる立場に、つまり、警察に捕まっちゃってもウチらの見方をしてくれるんだって」
「え、すごい。ホントに!?」
「はい。もちろんです。その代わり」
「その代わり?」
「ウチらは、全身全霊で田中さんを楽しませなきゃいけない」
「それだけでいいの?」
「それだけって。結構大変だと思うけど」
「大丈夫だよ。遥ちゃんたち面白いもん」
「・・・うるさいだけじゃない?」
「そんなことないよ。とっても面白いよ」
「では、この条件でよろしいですか?」
「まぁ、悪い話じゃないけどね。ウチらの一存じゃ決められませんよ。その“遥ちゃん”に確認取らないと」
「その必要はございません。なぜなら、西村さんたちには内緒にしてほしいのです」
「はぃ!?」
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