小説

□たんぽぽ戦争・三途の川
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それは麗らかな昼下がりの授業中に起こった。

チュェ〜 チュェ〜 チュェ〜

チョンチョンは魔力を使った。

気が付いたらそこは一面のお花畑でした。こんにちは。藤原由愛です。
私たちはさっきまで教室で土生先生の現代文の授業を受けていたはずなんだけど・・・今、私たちがいる場所は一面お花畑で、近くに綺麗な小川が流れています。

「ここどこ!?」
「あれ? さっきまで仕方なく教室で授業出てて・・・」

状況が分かっていないのは私だけではないみたい。遥ちゃんたちも困っています。

「いらっしゃいませ〜」

そこに聞きなれた男の子の声が割って入ってきました。

「蒼太君!?」

そこにいたのは、私と同じホルンを担当している2年生の永戸蒼太君でした。

「こんなトコで何やってるの!?」
「あ、センパイ。いらっしゃいませ。俺、今武器屋の店長やってるんです」
「武器屋の店長!?」
「はい。メイドインHirotoの三途の川支店です」
「あー、蒼太こんなトコにいたのか」

そこにパーカッションを担当している2年生の小西晴希君とテューバを担当している同じく2年生の宇津啓人君とトランペットを担当しているあっ君がやってきました。

「あ、にっちゃん。宇津ちゃん。あっちゃん。どうしたの?」
「このバカのせいだ」
「んぇっ!? 俺悪くない」
「じゃねぇ。チョンチョンとかいうわけの分かんねぇやつが魔力とか使いやがったんだ」
「あぁ。あのネタまだ引っ張るんだ」
「んぇっ!? ネタじゃない。チョンチョンは俺の友達」
「新、ちょっと黙ってような」
「んぇっ!?」
「あのーちょっといいかな?」

あっ!! 気を抜いてたら、後輩たちだけ状況を理解している状態になっちゃってたっ! そこに遥ちゃんが声を掛けました。

「えっと、ちょっと状況を説明してくれない?」
「はぁ。俺らもよく分かってないんッスけど。アイツがなぁ?」
「うん。チョンチョンが魔力を使って三途の川に連れてきたんです」
「魔力!?」
「三途の川!?」
「えーと、ちょっと待って。いつからファンタジーになっちゃったわけ?」
「いや、そこはチョンチョンとかいう意味不明な存在が出てきてからでしょ」

えっと。よくわかんないけど、あっ君のお友達がココに連れてきてくれたってことでいいんだよね?

「ってことは、この小川が三途の川ってこと!?」
「あ、はい。川の向こう岸はあの世です」
「ヘボッ。ジャンプして渡れそうなんだけど」
「間違って渡っちゃっても責任とれませんよ」

蒼太君はニッコリとほほ笑んだ。ん? でも、笑顔? えっと、言葉と顔があってないような・・・。
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