□セカンドコンタクト
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7月7日午後7時00分。
森琴乃と藤原由愛は、黒塗りの高級外車に送迎され、都内某所にある田中さんの豪邸前に来ていた。

「すごい。門、高いっ!!」
「どんだけ金持ちなの」
「すごいねっ!! それに、浴衣まで」

琴乃と由愛は田中さんが用意してくれたこれまた高そうな浴衣を着ていた。
ちなみに、由愛は白地に桃色の手毬模様で、琴乃は白地に緑色の蝶の絵柄だ。

「やっぱ、ロリコンなんだろうか・・・」琴乃は真剣に考えていた。「田中さんって良いおじいちゃんだなぁ」由愛は思っていた。

「森様、藤原様。ようこそいらっしゃいました」
中から燕尾服姿の蒼と琉聖、譲が出てきた。
「遠いところ、お疲れ様でした」
「ようこそ、いらっしゃい」
「お荷物お持ちします」
「こんにちはぁ〜」
「どうも」
「部活の方は大丈夫でしたか?」
「うん。大丈夫だよ」
「七夕の準備で忙しかったしね。遥たち」
「うん。私たちがいなくても気づいてないんじゃないかな?」
「まぁ、授業終わってすぐヘリで東京に来ることになるとは思わなかったけどね」
「うん。ヘリコプターチャーターしたって、凄いよね」
「やりすぎ感は否めないけどね」

そうこう話しながらも琴乃たちが案内された場所は中庭だった。手入れの行き届いた中にはには、テーブルが並べられ、涼しげな料理が並んでいた。

「わぁ〜。結構人、いるんですね」
「厳司様が手当たり次第人を呼んでいたみたいですから」
「それなりの人、なわけね」
「?」
「あの爺さん、元総理じゃない?」
「1年で辞めちゃった人だっけ?」
「そう」
「著名人もたくさん来てるんだぁ」
「もうじき旦那様も来ると思いますので、お寛ぎください」
「あ、はーい。ありがとう」

蒼たちが去っていくと、由愛たちは隅っこの邪魔にならない場所に移動した。

「こ、こんな所に私達いていいのかな?」
「田中さんに呼ばれたんだから堂々としてればいいんじゃない?」
「でも、総理大臣とかいるんでしょ?」
「元だけどね。ただのジジイでしょ」
「う、うん。でも・・・。そんな人とお知り合いって田中さんってすごいんだね」
「あぁ・・・。あれからいろいろ調べたんだよね」
「? 何を?」
「“田中厳司”ってキーワードで」
「それで!? どうだったの?」
「ヒットなし」
「え?」
「まったく検索に引っ掛からなかった。これだけすごい人なのにだよ? おかしくない?」
「うん。でも、何でかな?」
「さぁね。表の世界に出てない人なのか、それとも」
「それとも?」
「田中厳司という人物はただのキャラクターなのかも」
「キャラクターって?」
「うん・・・」

琴乃は黙り込んでしまった。

「琴ちゃん?」
「あ、ごめん。でも、“厳司”ならいくつかヒットしたんだよね」
「何にヒットしたの!?」
「権田厳司」
「ゴンダゲンジ?」
「ほら、権田グループってウチの島にも会社立ってるでしょ?」
「あぁ。うん。すごいお金持ちなんでしょ?」
「そう」
「でも、名前が同じだけなんじゃない?」
「そうなのかもしれないけど。厳司だよ?」
「珍しい名前だよね」
「うん」
「お待たせして申し訳ありませんね」

そこに田中さんがやってきた。琴乃と由愛はハッと会話を止めた。
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