□創立際
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この日、琴乃と由愛は部室でのんびりお茶をしていた。
もちろん、遥たちはいない。

「琴ちゃん。この間言ってた創立際ってどうなったの?」
「あぁ。うん。コレ」

琴乃は高価そうな和紙に、熨斗まで付けられた招待状を由愛に渡した。

「すごいね。何これ〜」


○月×日に蒼達の学校で創立際があります。ぜひ、行ってやってください。

日時:○月×日 10:00〜
会場:東大学付属高等学校
入場:無料


「・・・思ったよりまともな招待状だね」
「だよね。もっと、脅迫じみたものが来るのかと思ったけど」
「あはは。それで、琴ちゃんは、行くの?」
「行かなかったら後で怖そうだし」

と、そんな会話をしていると、背後に人の気配を感じた。次の瞬間――

「何これ?」

由愛の持つ招待状を、後ろから遥がヒョイと取り上げた。

「は、遥ちゃん!?」
「あ、やっほー」
「どうしたの!? 戦争に行ってたんじゃないの?」
「うん。そうなんだけどね。ヒマだから戻ってきちゃった。で、コレ何? 招待状?」
「あ、えっと・・・」

どうしようかと琴乃に助けの視線を向けると、

「あぁ。東大付属高校の創立際の招待状」

あっさり白状してしまった。

「創立際!? 楽しそうっ!! アタシも行きたいっ!!」
「・・・ま、いいんじゃない?」
「ホント!? あ、ついでに舞と花子も誘っていい?」
「いいんじゃない?」
「い、いいの? 琴ちゃん」
「田中さんの正体をバラしたわけじゃないし。大丈夫でしょ?」
「そう・・・だよね」
「え? 何の話?」
「ううん。何でもないよ」
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