□第2章
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この日、琴乃と由愛は権田さんの執事見習いを紹介してくれるということで、田中さんの別荘に来ていた。

「良い天気だね〜」
「そうだね」

「藤原嬢、琴乃嬢、いらっしゃい」
「いらっしゃいませ」
「お待ちしておりました」

「琉聖君、蒼君、譲君。こんにちは〜」
「それと・・・誰?」

そこには、蒼たちの他にもう一人、譲より
背の低い子が立っていた。

「こんにちは。小守と申します」

変声期前なのか、高めの声だった。そして、ニッコリと微笑んだそれは、譲とはまた違った可愛らしさがあった。

「違うだろ〜。小守じゃなくて、チビモリだろ」
「違うっ! ボクは小守だっ!!」

「可愛い〜!!小守君だっけ? よろしくね」
「はい。よろしくお願いします」

そんな挨拶をしている間に、蒼が手際よくお茶の準備を終わらせた。

「J.E. ミルキー ウーロンになります」
「? 烏龍茶?」
「J.E. ミルキー ウーロンはミルクやチョコレートを思わせる甘い香りと凍頂烏龍茶のようにすっきりとした上品な味わいの紅茶なんです」
「へぇ〜」
「さすがです!! 蒼先輩」

淹れたての紅茶を一口。

「おいしい〜」
「良い茶葉使ってるんだ」

「じゃぁ、ボクも」

小守は、紅茶に合うクッキーを由愛と琴乃の前に差し出した。

「コレ、ボクが作ったんだよ」
「小守君が!? すごーい」

「チビモリのくせに生意気だ」
「チビモリじゃないっ!! っ、琉聖のバカバカバカ〜。うわーん」
「あーあ。琉聖さんが泣かせた」
「な、俺?」
「蒼〜。琉聖がいじめる〜」

「ほらほら、お客様の前だよ」

蒼は、小守の頭をなでながら窘めた。

「まもりちゃんもね?」

・・・・・・!?

「まもりちゃん?」
「? はい。小守まもりと言います」
「女の子だったの!?」
「はい。そうですけど」
「ごめんね。男の子だと思ってた」

「チビモリガサツだからなー」
「そーそー。チビモリは全然女の子らしくないし」
「琉聖、譲、うるさいっ!!」

「あ、気にしないでください。こういう性格ですし、よく間違えられるんで」
「ホントにごめんね」
「由愛ちゃん。ついでに言うと、さっき泣いてたのも嘘泣きだよ」
「え、琴ちゃん知ってたの!?」
「まぁ」

「こんなボクですけど、これからよろしくお願いします」
「うん、よろしくね」



…Fin

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