□七夕
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琴乃と由愛は例のごとく田中さんの邸宅にお呼ばれしていた。
七夕の前日だ。

「また、浴衣用意してもらっちゃったね」
「だから、ロリコンって言われるんだよ」

夕涼み会だから。などという理由で、琴乃たちは浴衣を着せられていた。

「よくお似合いですよ」
「おう、似合ってるぜ」
「はい。お似合いです」

蒼、琉聖、譲に褒められて、由愛は上機嫌だ。

「ありがとぉ〜」
「なんで、田中様の選んだ浴衣をきるんだよぉ〜。厳司様だって浴衣用意したのに」

一緒に来ていた小守まもりが頬を膨らませた。

「森さんたちが旦那様を選んだからにきまってるじゃん」
「相変わらずチビモリだな」
「譲、琉聖、うっさいっ!!」

パン パン パン

「みんな。お客様の前だよ」
「すみません。蒼先輩」
「ごめん。蒼」
「ちょっとふざけてただけだろ」
「琉聖〜!?」

蒼は携帯ハリセンを取り出した。

「うぉっ!! 暴力反対」
「琉聖が悪いんじゃん。やっちゃえ、蒼」
「うるせーぞ。チビモリ」
「はぁ」

溜息を一つつくと蒼は、携帯ハリセンを片付け、琴乃達の方を向いた。

「森様、藤原様。明日はせっかくの七夕ですので、短冊など書いてみてはいかがですか?」
「うん! 書くっ!!」
「別に願い事なんてないんだけど」
「そんなこと言わずに、書こうよ。琴ちゃん」
「はぁ。由愛ちゃんが言うなら」
「では、すぐに用意いたしますね。琉聖、笹の準備を」
「りょーかい」

それから、ものの10分で飾り付けのされた笹が用意された。

「蒼君達も書こうよ」
「いえ、私たちはそのような身分ではありませんので」
「そんなこと言わないで。短冊、たくさんあった方が賑やかで楽しいと思うなぁ」
「藤原嬢がそう言うなら、書くのもいいんじゃね」
「琉聖・・・」

そんなこんなで、全員で短冊を書くことになった。
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