□文化祭
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「由愛さん。琴乃さん。ここだよ、蒼達の学校の文化祭会場」
「うわぁ〜。おっきな会場だね」

現在、由愛と琴乃は小守まもりと一緒に蒼達、東大付属高校の文化祭会場にきていた。
というか、学校でやらないあたりエリート&お金持ち学校の生徒の考えは一般人には分かりそうもない。

「何で、わざわざこんなところで…」
「学校が改修工事中で、中、見せられないそうです」
「そう」
「すごい、すごいっ。この間の創立際もすごかったけど、別の会場でやる文化祭もすっごーい」
「結構、客来てるんだ」
「そうですよ!! 東大付属の文化祭は毎年すごい人気なんですよ!! 有名人が来たりして!! ボクも来年は東大付属受けるつもりなんです!!」
「そうなんだぁ〜。まもりちゃんも頭良いんだ」
「琉聖や譲よりは良いと思います。蒼に毎日勉強見てもらってるんで」
「そっかぁ」
「あっ! それよりも、早く中に入りましょう!!」
「うん。そうだね」

由愛たちはまもりの案内で会場内に足を踏み入れた。

「琴ちゃん。どこから見て回ろうか」
「由愛ちゃんの好きな所からでいいよ」
「じゃぁ、演劇がもうすぐ始まるから、それ見に行っても良い?」
「演劇ね。うん、いいよ」
「あ、まもりちゃんも良い?」
「はい。もちろんです。この時間帯のステージ発表は琉聖のクラスですね」
「じゃぁ、琉聖君も劇にでてるかな」
「はい。もちろんです」

まもりは満面の笑みで答えた。これは何かありそうだ。と思ったのは琴乃だけで、由愛は琉聖のでる劇が楽しみでしょうがないようだ。

「演劇の舞台はこっちです」

まもりの案内で、由愛達はまず琉聖が出ているという劇場に向かった。

「ちょうど、始まる所ですね。あ、あそこに琉聖がいますよ」
「え? どこ?」

まもりが指差す先、舞台上には髪の長い女の人しか立っていない。

「これって、何の劇なの?」
「シェークスピアのオセロってパンフレットには書いてありますね」
「ふーん。ってことは、琉聖君がデズデモーナか」
「デズデモーナ? えっと、人の名前?」
「オセロに出てくるヒロインっぽい人の名前だよ」
「その役を琉聖君がしてるの? ヒロインってことは女の子だよね?」
「男女逆転劇なんだって蒼が言ってました」
「そうなの!? 琉聖君、がんばってーっ!」

由愛の声がステージ上に届いたのか、琉聖の顔が一瞬苦虫をかみつぶしたような顔になった。
どうやら、この姿を見られたくなかったらしい。まぁ、それはそうか。

「琉聖ウケる〜。写メろっと」

そう言うのだから、携帯で写メっているのかと思いきや、まもりは一眼レフを取り出し、琉聖を撮影し始めた。

「ま、まもりちゃん? それくらいにしてあげて? 琉聖君が可哀想だからね」
「・・・由愛さんがそう言うなら」

納得はしていないものの、まもりもおとなしく、由愛達と一緒に演劇を見始めた。
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