年間行事

□キャンプ〜中編〜
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前回までのあらすじ

夏休みを利用して無人島にサバイバルキャンプに来た遥たち。
テントを張って、食料を調達して、サバイバル生活を満喫していたのだが、由愛と琴乃の姿が見えない!!
夜が明けるのを待って捜索に向かうのだった。


そして、登山道入り口。遥たち『由愛ちゃん捜索隊』は立っていた。

「ここにいるんだよね?」
「っぽいね」

千波の指さす先に、立て看板が立っていた。

『姫はあずかったっ! 返してほしければログハウスまで来い!! by紘都』

「紘都って、たしかコンピ研の?」
「アタシの由愛ちゃんに何かしたら許さないっ!!」

遥は静かにキレていた。

「由愛ちゃーんっ!!」

一人で森の中に突っ込んでいこうとする遥を、千波と真由があわてて止めた。

「独断行動禁止っ!! 遥まで迷子になる気?」
「でも、由愛ちゃんがっ!!」
「皆で探したら? その方が早いでしょ?」
「真由の言うとおりだよ」
「っつーかさ。これって明らかに罠じゃね?」
「え、どういうこと?」
「だって、挑発的な立て看板とかお約束でしょ」
「罠でも、由愛ちゃんほっとけないよっ!」
「分かった。じゃぁ、3組に分かれよう。絶対、単独行動は禁止! いい?」
「うんっ!!」

と、いうことで、遥と咲良。真由と千波。心愛と花子と舞。の3組に分かれることになった。

「ちょっ、花子と舞と一緒?」
「うん。頑張って。あ、アタシ左の道行くね。咲良、行こっ!!」
「うん」

遥と咲良は左の道に入っていった。

「じゃ、そういうことで。真由、行こう」
「はーい」

千波と真由は右の道に入った。
そして、取り残された心愛・花子・舞は・・・

「ちょ、おいっ!!」
「Huuuuu」
「早く行こっ!!」
「はぁ・・・」

仕方なく、心愛たちは真ん中の道を進んだ。

「Huuu。お散歩〜」
「楽しいね〜」
「はぁ。マジ、無理なんだけど・・・」

しばらく歩いていると、またまた立て看板が立っていた。

『STOP』

3人は看板の指示通り、その場に立ち止まった。

ズボッ!

「ホゥ!?」

花子の奇声に、振り返ると、片足が穴にはまっている花子の姿があった。

「ちょ、花子っ!?」
「嵌ったっ!!」
「Huuuu」
「落とし穴? ・・・にしては、ちっさすぎない?」
「ホゥ・・・助けて」
「自力で頑張れよ。片足嵌っただけでしょ」
「・・・出れない」
「まったく」

心愛と舞は花子の両手を一緒に引っ張ってあげた。
すると・・・

ズボッ!  ズボッ!!

「えっ!?」
「はっ!!」

心愛と舞まで落とし穴に落ちてしまったようだ。一体どんな仕掛けをすれば、そんな器用なことができるのだろうか。

「落ちたっ!!」
「抜けない。どうなってるの!?」
「だから言ったじゃん〜」
「ちょ、誰か、助けてっ!!」


そのころ、千波と真由は

「心愛は罠とか言ってたけど、今のとこ、あやしいところはないよね?」
「うん、そうだね。このまま何もないことを祈るよ」
「確かに」

ガサガサ  ガサガサ  ガサガサ

近くの草むらが揺れた。ような気がした。

「な、何?」
「野生の動物でもいるのかな」
「ちょ、真由。なんでそんなに落ち着いてられるの?」
「え? そうかな? そんなことないよ。あーバナナおいしそ〜」
「え、バナナ?」

気がつくと真由は地面に落ちていた雑誌を拾っていた。

「なに、その雑誌。・・・って、ジュンジュン!?」

千波は真由の持つ雑誌を覗き込み、瞳をハートに変えた。
前にも言ったと思うが、千波は、我が高校の体育科講師の加辻純(通称:ジュンジュン)のことが好きなのだ。

「ジュンジュンっ!!」
「バナナ・・・」

そんな、真由と千波を草むらからのぞき見している少年が1人。

「あ、ひーちゃん? 夢見本、成功したみたいだよ。・・・うん。じゃ、始末してそっち戻るね」

そう言い残すと、少年は真由と千波を近くに掘ってあった巨大な穴に突き落とした。
2人とも夢見る乙女モードに入っているため、簡単に穴に落ちてくれたようだ。
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